ダブルスタンダードへの警鐘
ヘルメスと蟻に噛まれた男
船が乗客を乗せたまま海に沈むのを目撃した男が言った。
「罰当たりが一人乗り込んでいるからと言って、罪もない人が大勢巻き添えを食っている。神の裁きは正しくない!」
すると蟻の大群が行列をなして男の足元を歩いていた。そして中の一匹が男の足に咬みついたところ、男はたまらずたくさんの蟻を一緒くたに踏みつぶした。
するとヘルメスが男の前に現れ、その男を杖で打ちながら言った。「お前は神々が人間に対する裁きを非難しておったが、蟻に同じことをしているではないか!」
この寓話は、「自分の言葉や批判が、自らの行動と一致しているか」が試される物語だ。 ヘルメスは、男の中にある矛盾を鋭く突いた。
「罰当たりだけ沈めればよかったのに」と神を非難しながら、 自分の足を咬んだ一匹の蟻のせいで、無関係な蟻たちまで踏みつぶしてしまう男。
他者を裁くその口で、自らの行いを省みることができていない。 それはまさに、偽善という名の落とし穴だ。
あなたは、評価する立場に立ったとき、 自分の振る舞いを、まっすぐに見つめることができているだろうか。