投稿者: gray wolf

  • イソップ寓話の教訓No.471「虱(シラミ)と農夫」

    同じことの繰り返しは後退を意味する!

    ストーリー

    農夫が畑仕事をしていると、虱がこっそり咬みついた。農夫は仕事の手を止め、シャツの掃除をした。するとまた虱が咬みついた。
    二度までは耕作の手を止めシャツの掃除をしたが、またも咬まれるので、再三仕事の手を止めなくても良いように、シャツを火にくべ、燃やしてしまった。

    教訓
    一度うまくいったからと同じことの繰り返しは後退を意味する。絶えず新たな方法の模索を続け、自分を磨き続けなければ自滅するのだ。

    イソップ寓話の教訓「虱と農夫」
    イソップ寓話の教訓No.471「虱(シラミ)と農夫」
    David MarkによるPixabayからの画像
  • グリム童話の教訓「梁(うつばり)」

    魔法使いが女の子に魔術を見破られ、仕返しをする話

    ストーリー

    むかし一人の魔法使いがいました。魔法使いは大勢の人を集め、不思議な魔術を使って驚かせていました。
    その魔術の中に鶏に家の梁を軽々とかつがせる術がありました。ところが見物人の中に一人の女の子がいました。その女の子は四葉のクローバーを持っていたので魔術にかかることなく、鶏が担いだのは藁であることを見破りました。
    女の子は「みんな、分からないの?鶏がかついでいるのは藁だよ!」と大きな声をあげました。そのとたん魔術は消えて、見物人にありのままが見えました。
    魔法使いは見物人にさんざん悪口を言われ、これ以降、不思議な魔術を見物するものはありませんでした。魔法使いも姿をあらわさなくなりました。
    それから年月が経ち、この女の子がお嫁に行くことになりました。花嫁衣装に身を包み、大勢の行列を整えて野原をとおり、教会までねりあるいて行きました。
    ところが思いがけなく、大きな川の岸に出ましたが、橋がありません。花嫁は仕方なく衣装をまくりあげて川を渡り始めました。
    川の途中まで来ると誰かが大きな声で「花嫁が畑の真ん中で衣装をまくっているぞ!」と言いました。これは、いつぞやの魔法使いでした。
    こう言われて、花嫁がはっと気づき辺りを見回すと、衣装をお尻までまくって麻畑の真ん中に立っているのでした。

    ※四葉のクローバー:これを持っていると魔術を見破ることができると言われていました。

    教訓
    名誉にかかわる指摘はすべきでない。名誉を汚されたと感じれば相手も容赦はない。わざわざトラブルを招くような愚かな事はやめよう。トラブルに合わないようにするのは自分次第である。

    グリム童話の教訓「梁(うつばり)」
    グリム童話の教訓「梁(うつばり)」
    NouploadによるPixabayからの画像
  • グリム童話の教訓「狼と山羊」

    神様と悪魔が創った動物の話

    ストーリー

    天の神様があらゆる動物を創り狼を自分の家来に選んだが、山羊だけを忘れてしまった。するとそれを見ていた悪魔が自分も創ってみようと思い、尻尾の長い山羊を創った。

    ところが山羊は牧場へでると、いつでも尻尾が草か何かにひっかり動けなくなるので、その度に山羊をひっかりから解いてやらねばならなかった。とうとう悪魔はめんどうになり、山羊の尻尾を噛みきってしまった。

    それからは山羊にかってに草をたべさせておいたが、ある時、神様が山羊を見ると木をかじったり、収穫前の葡萄を食べてしまってだいなしにしていた。神様は自分の家来の狼を山羊にけしかけ、たちまち八つ裂きにしてしまった。

    これを聞いた悪魔は、神様に言った「あなたの狼がわたしの山羊を八つ裂きにしてしまわれた」
    神様は尋ねて「お前は、なんで、あのような害をなすものを創ったのだ?」
    「わたしが害をなすことを心掛けておりますので、わたしが創ったものは同じ性質を持つのです。よその木や葡萄を食べないようにたっぷりと餌を与えねばなりません。それにはたくさんのお金を頂けなければなりません。」と悪魔は答えた。
    「わかった。槲(カシワ)の葉が枯れ落ちたら、すぐ参れ。用意しておく。」と神様は言った。

    槲の葉が落ちたのを見ると、悪魔は神様のもとへのこのやって来て、お金を頂きたいと申し出た。ところが神様は「コンスタンティノープルのお寺にある槲には、まだ葉がいっぱいついておるぞ。」と言った。悪魔はぶつぶつ悪態をつきながらコンスタンティノープルのお寺にある槲の葉が落ちるのを見ると戻ってきました。ところが帰って来た時には、他の槲がいっぱい葉をつけているのでした。

    とうとう悪魔もいただくはずのお金に見切りをつけ、山羊に与える餌をあきらめました。
    それですから、山羊は木や作物をかじり、尻尾が短く、悪魔の目を持っていると言われます。

    ※ コンスタンティノープル:トルコ共和国のイスタンブールのヨーロッパ側旧市街の半島部分にあった都市。
    ※狼:ユーラシア大陸と北アメリカに生息する大型のイヌ属。物語に登場する狼は凶暴さを象徴している。
    ※山羊:キリスト教文化において、ヤギには悪魔の象徴としてのイメージが強い。

    教訓
    凶暴な狼も作物をかじる山羊もありのままに生きている。動物に善悪など無く本能のとおり誠実に生きている。
    自分に害を与えるものは悪であり、自分に得を与えてくれるものは善である、と善悪を判断することは自分勝手な考えだ。

    狼と山羊(グリム童話)
    グリム童話の教訓「狼と山羊」
    RNF-12によるPixabayからの画像
  • グリム童話の教訓「悪魔と悪魔のおばあさん」

    三人の兵隊が軍隊を脱走するために悪魔と取引した話

    ストーリー

     むかし大きな戦争があって、王様はたくさん兵隊を抱えていました。ですが給料は少ししか出されず、生活に困った兵隊が三人で脱走をはかりました。

     他の兵隊たちには見つからないように大きな麦畑に隠れていましたが、軍隊はいつになっても 麦畑の周りから動きません。
     二日二晩、麦畑の中で頑張っていましたが、脱走した三人は、空腹で死にそうでした。といって、麦畑から出れば捕まって罰を受けることになります。

    「せっかく脱走したのに、何にもならない。このまま野垂れ死にだ。」と話し合っているところへ、火の竜が飛んできて「お前たちは、なんでこんなところに隠れているんだ?」とわけを聞きました。
     ことの次第を知った竜は「おれに7年のあいだ奉公する気があるなら、ここから助け出してやる」と言いうと、兵隊たちは竜の条件を承知して助け出されました。

     竜は三人の兵隊に小さな鞭を渡して「この鞭を振れば好きなだけのお金が目の前に現れる。どんな贅沢な暮らしもできる。好きなように暮らしたら良い。ただし7年たったら、お前たちの命は俺のものになるだ」と言いました。竜は続けて「お前たちにチャンスをやろう。お前たちの命をもらう前に謎を一つ出してやる。それが解けたら命は取らないから覚えておけ。」こう言って、竜は飛び去りました。

     兵隊たちは鞭を持って旅を続けました。鞭のおかげでお金に困らず、馬や馬車を乗り回し、ごちそうやお酒を好きなだけ食べ、贅沢三昧の暮らしができました。

     あっという間に7年の月日が経とうとするある日、三人は原っぱに座っていました。そこへ、どこかのおばあさんがやって来て、どうして、こんなところに座っているのか尋ねました。兵隊たちは7年の間、悪魔の召使になっていること、お金も自由に使えるけれど、7年たった時に悪魔の謎かけが答えられなければ、命をとられてしまうことを、おばあさんに話して聞かせました。

     すると、おばあさんは「森へ行くと、岩が崩れ落ちて小屋のように見えるところがある。そこへ入って行くとお助けがあると言われているよ」と教えてくれました。
     三人の兵隊は「そんなことしたって助かるわけがない」と思っていましたが、一人が無駄でも森へ行って行ってみようと、出かけて行きました。

     しばらく森の中を歩いていると、話に聞いた岩の小屋が見つかりました。こっそり中をのぞくと、おばあさんが一人で座っていました。外から声をかけようとしたその時、あの時の竜がこの小屋をめがけ飛んできたのが見えたので、慌てて物陰に隠れました。

     竜が岩の小屋の中に入って来ると、おばあさんは竜に尋ねました「今日はどうだった?魂はいくつ取れたのだい?」
     竜は答えて「さっぱりうまくいかなかった。だが兵隊を三人捕まえてあるから、あいつらの命は頂きだ!謎を一つ出してやるが、答えられっこないだろう。」
    「どんな謎だい?」とおばあさんが聞くと、竜は「北海の水の中に死んだ牝の猿が一匹いるので、これを奴らの焼肉にして食わせるのさ。さじはクジラのあばら骨で作り、酒のコップは馬の足首だ。」
     この話を物陰で聞いていた兵隊は、大急ぎで仲間の所へ帰り話して聞かせました。

     ちょうど7年たった日に竜がやって来て「お前たちを地獄へ連れていくぞ。そこで腹いっぱい焼肉を食わせてやる。その肉がなんの肉か、ここで当てることができたら見逃してやる」と言いました。すると一人が「 北海の水の中に死んだ牝の猿が一匹いてそれが焼肉なんだろう」と言うと、竜は機嫌を悪くして「それでは、お前たちが使うさじはなんだ?」と聞くと、「クジラのあばら骨を俺たちのさじにしようとしているだろう」、竜は何かおかしいぞと疑うように唸りながら、「それでは、お前たちの酒のコップはなんだ?」と聞くと、「馬の足首をコップにしようとしているだろう」

     これを聞くと竜は大きな唸り声をあげながら飛んで行きました。こうして三人の兵隊は竜に命をとられずに済んだということです。

    :悪魔が姿をかえたもの(グリム童話では悪魔が姿を変えて希望を失った人の前に現れ、人を堕落させるような条件をだし、その対価として安楽を与える話が多い)

    :鞭を振るだけで好きなだけお金が出てくる。楽してお金を手にすることで人として堕落するように悪魔は仕向けている。それが7年も続くと普通の暮らしには戻れず、結局は命も続かないという悪魔の狙い。

    :グリム童話では悪魔や魔法使いの住処がある。

    辛いことから逃げ出したい時がある。安易な道を選びたい時がある。きっと自分の中の悪魔がささやいているのだ。
    逃げちゃえ!、止めちゃえ!嘘をついちゃえ!自分の中の悪魔に勝てるかどうか、自分次第である。

    悪魔と悪魔のおばあさん(グリム童話)
    グリム童話の教訓「悪魔と悪魔のおばあさん」
  • イソップ寓話の教訓No.469「ライオンに欺かれた牛」

    おだてに乗らず、その言葉の真偽を見極める冷静さが必要だ!

    ストーリー

    ライオンが牛を見つけた。

    食べたいが角にやられるのが怖い。力で勝つには危険が大きいと見た時は謀をするものだと考え、ライオンは友情を装い牛にすり寄った。

    「あなたの強さには感服です。美しさも驚くほかありません。その頭、お姿、なんと素晴らしい。ただ残念なのは、頭の上に大きな荷物を載せておられる。そんなものは外してしまいなさい。見た目が良くなるし、頭が軽くなりますよ!」

    牛はライオンの褒め言葉に従って角を捨ててしまった。するとライオンは、だまされた牛を餌食にした。

    教訓
    褒められれば誰でも気分が良くなり相手に気を許す。そんな時こそ、おだてに乗らず、その言葉の真偽を見極める冷静さが必要だ。
    言葉巧みに、焦らせたり、ほめたり、おだてたりする者ほど信用してはいけない。裏の企てがなければ、そのような事はしないからだ。

    ライオンに欺かれた牛(イソップ寓話)
    イソップ寓話の教訓No.469「ライオンに欺かれた牛」
  • イソップ寓話の教訓No.454「鼠と牡蛎」

    都合の良いもうけ話は災難を招く!

    ストーリー

    なんでも食いつく鼠が餌を探して家の中をうろついていた。

    すると殻を大きく開けた牡蛎を見つけたので、その身に噛り付いた。

    そのとたん牡蛎は殻をパタンと勢いよく閉じたので、鼠は首を挟まれた。

    鼠は餌だと思って近づいた牡蛎に捕まってしまい、逃げられなくなった。

    教訓
    都合の良いもうけ話に飛び付くと自ら災難を招くことになる。上手い話はそうそう無いのだ。また強欲は下品さの表れだ。「自分が強欲になっている」と思ったら反省する機会ととらえることだ。

    鼠と牡蛎(イソップ寓話)
    イソップ寓話の教訓No.454「鼠と牡蛎」