冷静に一呼吸おいて判断力を取り戻す!
ストーリー
あるとき水を飲もうとして井戸に落ちた狐が、そこから出ることができず、しかたなくそこでじっとしていた。
そこへ、のどが渇いた山羊がやって来て狐を見つけると「おーぃ、狐さん!井戸の水はおいしいかい?」と尋ねた。狐は水をほめちぎり「冷たくておいしい水だよ!山羊さんも下りてきて一緒に飲もうよ!」と山羊にも下りて来るように勧めた。
山羊は水が飲みたい一心で、後先のことも考えず、喜んで井戸の中へ飛び降りたが、水を飲み終わると、狐と共に上り方を考え始めた。
すると狐は二人が助かるための妙案を思いついた、として言うには「君が前足と角を壁にもたせ掛けてくれたら、僕が君の背中を駆けのぼって、君を引っ張り上げよう!」
山羊が狐のこの妙案に、喜んで従ったところ、キツネはヤギの背中から角へと駆けのぼり井戸から出ると、そのまま「さよなら」をしようとした。山羊が「約束が違う!」と文句を言うと狐は振り返ってこう言った。
「山羊さん、あなたに顎鬚ほどの思慮があったら、上り方を考えるまでは下りてこなかったろうに」
山羊は「水が飲みたい」という目先の欲求に囚われ、「冷たくておいしい水だよ」という耳障りの良い言葉に判断力を鈍らされた。その結果、狐の策略に利用され、搾取される立場に陥った。
これは、組織や制度が「協力」や「支援」を謳いながら、実際には一方が多くの利益を得ている構造とよく似ている。
欲望が目の前にあると、周囲の状況が見えなくなる。事故を起こしてから気づいても、もう遅い。
冷静に一呼吸おき、判断力を取り戻してから動く。それが、搾取されないための賢いやり方だ。
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