イソップ寓話の教訓No.70  「樫と葦」

見えない強さとは!

ストーリー

 ある日、樫が葦に言った「お前は小さな鳥がとまっても重そうに頭を下げている。それに比べ私は太陽の日差しも遮ることが出来るし、北風にも堂々と立ち向かう。」
 ところが、ある時、大風が吹き、葦は体を曲げ突風に身を任せて倒れるのをのがれた、しかし樫は抵抗して踏ん張ったところ根っこから倒れてしまった。

 この寓話は「真の強さとは、状況に応じてしなやかに対応できること」だという深い教訓を伝えているのだ。
 プライドが高い頑固者は環境の変化に柔軟に対応できず滅ぶ。弱いものは肩身が狭くストレスがたまるが、それが生き残る秘訣となることがある。弱さとは、力を持たないことではない。それは、力を誇示せず、状況に応じて身を引く知恵である。肩身の狭さや沈黙は、時に戦略的な選択であり、嵐をやり過ごす術でもある。
 樫と葦の寓話は、私たちにこう語りかける——「耐える力」とは、必ずしも踏ん張ることではないと。
 樫はその場に留まることで力を示そうとしたが、根こそぎ倒れた。葦は揺れ、曲がり、流れに身を任せることで生き延びた。
 組織もまた、変化に抗う構造ではなく、変化を受け入れる構造こそが持続可能性を持つ。人も同様だ。固定的なヒエラルキーや硬直したルールがつづけば、樫のように倒れる。一方、役割が流動的で、境界をまたぐ人材が活躍できる組織は、葦のようにしなやかに生き延びる。
 持続可能性とは、構造の柔軟性に宿るのだ。柔軟さは、弱さではない。見えない強さの証である。それは、嵐の中でも根を張り続ける力であり、変化の波を乗りこなす知恵である。
 変化の風が吹いたとき、あなたは踏ん張って耐えていないだろうか?

※類似教訓
http://イソップ寓話の教訓隣同士の蛙

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