気取らない!
ストーリー
冬が春をからかって、こんな悪口を言った。
春が来たとたん、もう誰もじっとしていない。百合などの花を摘んだり、薔薇を額の飾りにしたり、かんざしにするのが好きな人は、野原や森へと繰り出す。また別の人は、船に乗り海を渡って、どこかへ行こうとする。それに誰も風のこと、洪水のことなど気にかけなくなる。
それに対して、と冬は言葉を続けて
「私は有無を言わせぬ王のようだ!空を仰ぐことなく、地面に目を伏せ、震えさせてやる。時には終日、家に蟄居するもやむなしと思わせてやる」と言えば、春が言うには、
「だからこそ、人間は君が去れば喜ぶのだ」
気取らない。立派な人ほど気取る必要などないはずだ。自分の美徳は秘めておいて、人から関心を持ってもらうほうがずっと立派だ。
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