イソップ寓話の教訓No.210 「羊飼の悪戯(イタズラ)」

組織のリスク感度

羊飼いの悪戯(イタズラ)

 羊飼が羊の群れを村から遠く追って行きながら、いつも、いつも、いたずらをして村人をだましていた。狼が来てもいないのに、大声で「狼が羊を襲いに来た、助けて!」と言っていた。
 
 最初のうちは、村人も慌てて飛び出してきて、いたずらだったことに気づき、やがて笑いものにされて戻って行った。
 
 とうとう本当に狼が羊を襲いに来てしまった時、羊飼は助けを求めて叫んだが、村人は「また、いつものいたずらさ!」と気にもかけなかった。こうして羊飼いは、羊を失ってしまった。

 寓話「羊飼いの悪戯(イタズラ)」は、繰り返し嘘をついた羊飼いが村人の信頼を失い、真の危機に誰も対応してくれなかったという教訓を示しています。

 組織においても同様に、危機や問題を過度に繰り返し訴えると「アラート疲労」が生じ、メンバーは警告に慣れて反応が鈍くなります。また、実際の脅威を軽視する「リスク過小評価」が起こり、本当の危機に対応が遅れることもあります。これらは連鎖的に発生し、組織の防衛力を大きく損なうものです。

 したがって、適切なリスク感度を保つためには「すべてを緊急と扱わない」「重要な事柄は透明な根拠を添えて伝える」ことが不可欠です。さらに、組織全体で共通の判断基準を持つために「リスク階層化と優先度付け」を行い、定期的に見直すことが重要です。
 これらの仕組みこそが、組織の信頼と防衛力を支える基盤になるでしょう。

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