同類を選ぶ力学
驢馬を買う男
男がロバを買おうとして試しに連れて帰り、自分のロバと一緒にしてみた。連れて来たロバは、自分のロバの中で最も怠け者で、最も大食いのロバの側へ行った。そして何もしようとしないので、男は縄をかけて元の持ち主に返した。
元の持ち主は「こんなに速く気性がわかったのか?」と尋ねたところ、男は答えた「こいつが仲間に選んだ奴を見て、どんな奴か分かったのさ!」
新しいロバは群れの中で最も怠け者のロバのそばに行ったため、男はすぐにその性質を見抜いた。付き合う相手を見れば、その人がどんな人物か分かる――この寓話の核心です。
組織構造の観点から見ると、ロバの群れはまさに組織の縮図です。勤勉な者も怠け者もいて、役割や評価が暗黙のうちに形成されています。新しく入ったロバは、既存の秩序の中で「どこに属するか」を選びました。これは新入社員や新しいメンバーが、組織内でどのグループに同調するかを決める行動に似ています。
怠け者のロバのそばに行った行動は「同類を選ぶ力学」を示しています。人は自分に近い価値観や行動様式を持つ者に自然と引き寄せられるのです。男がすぐに返したのは「初期行動がその後の適応を決定づける」という洞察でした。組織においても、最初に誰と組むか、どこに配属されるかが、その人の評価やキャリアに大きな影響を与えます。
要するに、この寓話は「組織風土は個人の選択と同調によって形成される」という力学を示しています。仲間選びの瞬間に、その人の未来は大きく方向づけられるのです。組織も同じで、誰を中心に据えるか、誰を仲間に選ぶかによって全体の文化と方向性が決まっていきます。
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