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慢心を戒める教訓

  • イソップ寓話の教訓No.52「農夫と犬」

    犠牲者は出さないほうが良い!

    ストーリー

     農夫が嵐のために小屋に閉じこめられた。外に出て食物を手に入れることができないので、まず羊を食べた。

     しかし嵐はなおも続くので、やむなく山羊も平らげた。

     それでも一向に嵐の収まる気配が無い。とうとう三番目には畑を耕す牛にまで手を付けた。

     一部始終を見ていた犬たちは、こう言い合った。

     「早くここを出て行こう!ご主人は一緒に畑仕事をする牛さえ容赦しなかったんだ。次は俺たちの番だぞ。」

    自分のために他者を犠牲にしていると、犠牲になっていないものも危険を察知して去ってゆく。組織を維持したければ犠牲者を出さないことだ。

    ある会社のお話】
     若手社員のAが言った。「ベテランがいつまでも管理職に居座っているからポストが空かないんだ。だから自分たちが出世できないんだ!」
     ある時、景気が悪くなりリストラが始まった。対象になったのはベテラン社員たちだ。
     Aの課ではリストラされたベテラン社員の送別会が開かれた。次の就職先が決まらなかったり、決まっても収入が大幅に下がってしまったり、と困っている様子だった。送別会の帰り際に、会社を去るベテランがAにささやいた。「この歳でリストラはキツイよ。君たちは先が長いからまだ安心だ!だが君たちも、いずれ歳をかさねてベテランになる。このリストラもいずれ君たちが行く道だよ。」

     このリストラのあと優秀な若手社員も何人か会社を去っていった。
     翌春、Aは管理職になった。しかし心から喜べなかった。

    農夫と犬の画像
    イソップ寓話の教訓No.52「農夫と犬」
  • イソップ寓話の教訓No.46「北風と太陽」

    自主性を促すなら穏やかに諭す

    ストーリー

     北風と太陽がどちらが強いか言い争いをした。道行く人の服を流せたほうが勝ちにすることにして、北風から始めた。

     強く吹き付けたところ、男はしっかりと服を抑えるので、北風は一層勢いを強めた。しかし強く吹けば吹くほど、寒さで服を着こむばかりで、北風も次第につかれ果て、太陽に番を譲った。

     太陽は、はじめ穏やかに照りつけたが、男が余分な服を脱ぐのを見ながら、次第にジリジリと照りつけると、男はついに暑さに耐えかね、傍らを流れる川に水浴びにとんで行った。

    自主性を促すなら、強制するよりも、穏やかに諭すほうが有効なことが多い。

    北風と太陽の画像
    イソップ寓話の教訓No.46「北風と太陽」
  • イソップ寓話の教訓No.91「じゃれつく驢馬と主人」

    主人に可愛がってもらうマルチーズ犬の真似をした驢馬の愚行

    ストーリー

    マルチーズ犬と驢馬を飼う人がいた。

    主人が遊んでくれるのは、いつも犬ばかり。よそで食事をした時には、お土産を持ち帰り、しっぽを振って出迎える犬に投げ与えた。

    驢馬はこれを羨んで主人に駆け寄ると、飛び跳ねて蹴ってしまった。

    怒った主人は、驢馬を叩きのめし、柱につないでしまった。

    誰でも得意や不得意がある。真似ではなく自分の得意な方法でおこなうべきだ。

    じゃれつくロバと主人の画像
    イソップ寓話の教訓No.91「じゃれつく驢馬と主人」
  • イソップ寓話の教訓No.90「蝮と水蛇」

    掛け声ばかりの人に期待してはいけない

    ストーリー

     蝮がいつもやって来ては水を飲む泉があった。ここに住む水蛇は、蝮が自分のえさ場に満足せず、他人の縄張りまで押しかけて来ることに腹を立て、その都度邪魔をしようとした。

     だんだん争いがひどくなるばかりなので、二匹は決闘をして、勝ったほうが土も水も自分の領分にすることに決めた。

     戦いの日が決まった時、水蛇を憎むカエルたちが蝮のところへやって来て、助太刀を約束して激励した。

     さて、いよいよ決闘が始まると、蝮は水蛇を攻め立てたが、カエルは何もせず、ただ大声で鳴いているだけだった。

     蝮は勝ったが、カエルを非難した。「お前たちは助太刀を約束したくせに、少しも助けなかったばかりか、歌など歌っていたではないか。」

     するとカエルたちは、「いいですか、私たちの加勢は手でするのではなく、声だけでするのです!」

    掛け声ばかりの人に期待してはいけない。そのうち誰からも信用されなくなる。

    イソップ寓話の教訓No.90「蝮と水蛇」
  • イソップ寓話の教訓No.87「金の卵を産む鵞鳥(ガチョウ)」

    強欲は今あるものさえ奪う!

    ストーリー

     ヘルメスを崇拝する男がいたので神は褒美として、金の卵を産む鵞鳥を授けた。

     鵞鳥は毎日ひとつ、金の卵を産んだ。金の卵は高い値段で売れた。

     男は、もっと多くの金の卵があれば、さらに金持ちになれると考えた。そこで鵞鳥の中に金の卵がたくさんあるはずだと思い込んで殺してしまった。

     鵞鳥の中に金の卵は無く、金の卵を産むガチョウも無くしてしまった。

    ※ヘルメス:主神ゼウスの末子。富と幸運をもたらす神。

    強欲は今あるものさえ奪う。

     長期的に利益を得続けたいなら利益を生み出す資源(金の卵)も大切にするべきだ。
     金の卵は高い潜在的能力をもつ人材、商品、企画、将来高値が見込まれるコレクションなど様々なものがありそうだ。
     もしかすると、自分自身が自分の金の卵かもしれない。あなたは自分の価値に気づけるか?気づいたら磨き続けることができるか?忘れてはならないことは「もっと、もっと」と強欲は避けねばならないことだ。
     自分への投資は決して裏切らない!

    イソップ寓話の教訓No.133「肉を運ぶ犬」

  • イソップ寓話の教訓No.80「蠅」

    食い意地は災難を招く

    ストーリー

     物置の中で蜜がこぼれたので、蠅が飛んできて舐めた。

     とても甘いので、このご馳走から離れようとしなかったところ、足がくっついてしまった。

     飛び立つこともできず、こぼれた蜜に溺れそうになって言うには、
    「ああ情けない。ご馳走のために身を亡ぼすとは!」

    食い意地は災難を招く。

    ※類似教訓
    イソップ寓話の教訓No.86「ミルテの繁みの鶫(ツグミ)」

    蠅の画像
    イソップ寓話の教訓No.80「蠅」
  • イソップ寓話の教訓No.79「猫と鼠」

    仲間の不幸から学ぶことは多い!

    ストーリー

     ある家にたくさん鼠が住んでいた。

     猫がそれを知って、出かけて行くと一匹また一匹と捕まえて食った。鼠は次々とやられていくので、穴にもぐったまま出てこなくなった。

     そうなると猫は手出しができないので、たくらみでおびき出そうと考えた。そこで腕木の上に登ると、そこからぶら下がって、死んだふりをしていた。


     それを見た一匹の鼠が言うには、
    「おいおい、たとえお前が革袋になったとしても、近づくことはないぞ!」

    賢い人は、誰かが一度でもひどい目にあっているところを見たら、同じ轍は踏まない。仲間の不幸から学ぶことは多い。

    ※類似教訓
    イソップ寓話の教訓No.149「ライオンと驢馬と狐」

    猫と鼠の画像
    イソップ寓話の教訓No.79「猫と鼠」
  • イソップ寓話の教訓No.77「鹿と葡萄」

    恩を受けても時が経つとありがたみが薄れてしまう!

    ストーリー

     鹿が猟師に追われて、葡萄の木陰に身を隠した。

     猟師が行ってしまったので、鹿はホッとして葡萄の葉を食べ始めた。そこへ猟師が戻ってきて、スカスカになった葡萄の間に鹿を見つけ、捕らえられた。

     鹿はため息をつきながら言った。
    「なんてバカなことをしたんだ!身を隠してくれた葡萄の葉を食べてしまったとは。」

    恩を受けても時が経つと忘れてしまう。恩を受けた時のことを忘れぬよう常に自分を戒めておくことで恩人との関係が長続きする。

    鹿と葡萄の画像
    イソップ寓話の教訓No.77「鹿と葡萄」
  • イソップ寓話の教訓No.74「水辺の鹿」

    見栄を張らずに自分の強みを見極める

    ストーリー

     喉の渇いた鹿が泉にやってきた。

     水を飲み終わり、ふと水に映る自分の姿を見て、大きくて立派な角を見て得意になったが、足が細くて弱々しく悲しくなった。

     思いにふけっていると、そこへライオンが現れ、追いかけて来た。鹿は一目散に逃げだすとライオンを遠く引き離した。
     

     さて、木の無い平原を走っているときは良かったものの、樹木の生い茂る場所に来ると、大きくて立派な角が枝に絡まり走れなくなり、とうとうライオンに捕まってしまった。

     鹿がライオンの餌食になる前に独りごとで言うには、
    「ああ、情けない。頼りにならないと思っていた脚に助けられ、誇らしく思っていた角にやれれるとは!」

    長所と短所は表裏一体。見栄を張らずに自分の強みを見極め最大限に利用する。それが賢いやりかただ

    水辺の鹿の画像
    イソップ寓話の教訓No.74「水辺の鹿」
  • イソップ寓話の教訓No.69「隣同士の蛙」

    頑固な人や変化を嫌う人は他人の話に耳をかしません

    ストーリー

    隣同士の蛙が二匹、一匹は深くて道からも遠い沼に、もう一匹は道にできた小さな水たまりに住んでいた。沼の蛙がもう一方に「自分の側へ引っ越してきて、もっと楽しく安全な暮らしをするように、と勧めたが、こちらは住み慣れた場所から離れがたい、と言って従おうとしなかった。そしてとうとう、通り過ぎる車に轢き殺されてしまった。

    頑固な人や変化を嫌う人は他人の話に耳をかしません。
    人を含めた動物は変化を嫌います。現在の状況を理解しているので、よほどの不満がない限り「失う」という不安が大きくなるので変化を嫌うのです。

    しかし変化をしないことで被る損失も大きいことは理解しておかなければなりません。

    ※類似教訓
    イソップ寓話の教訓No.70「樫と葦」

    都会の蛙と田舎の蛙の画像
    イソップ寓話の教訓No.69「隣同士の蛙」
  • イソップ寓話の教訓No.9「井戸の中の狐と山羊」

    冷静に一呼吸おいてから取りかかる方が賢い

    ストーリー

    あるとき水を飲もうとして井戸に落ちた狐が、そこから出ることができず、しかたなくそこでじっとしていた。

    そこへ、のどが渇いた山羊がやって来て狐を見つけると「おーぃ、狐さん!井戸の水はおいしいかい?」と尋ねた。狐は水をほめちぎり「冷たくておいしい水だよ!山羊さんも下りてきて一緒に飲もうよ!」と山羊にも下りて来るように勧めた。

    山羊は水が飲みたい一心で、後先のことも考えず、喜んで井戸の中へ飛び降りたが、水を飲み終わると、狐と共に上り方を考え始めた。

    すると狐は二人が助かるための妙案を思いついた、として言うには「君が前足と角を壁にもたせ掛けてくれたら、僕が君の背中を駆けのぼって、君を引っ張り上げよう!」

    山羊が狐のこの妙案に、喜んで従ったところ、キツネはヤギの背中から角へと駆けのぼり井戸から出ると、そのまま「さよなら」をしようとした。山羊が「約束が違う!」と文句を言うと狐は振り返ってこう言った。

    「山羊さん、あなたに顎鬚ほどの思慮があったら、上り方を考えるまでは下りてこなかったろうに」

    目の前に欲しいものがあると、周りが見えなくなる。事故を起こしてから気付いても遅いのだ。冷静に一呼吸おいてから取りかかる方が賢い

    ※類似教訓
    イソップ寓話の教訓No.43「水を探す蛙」

    井戸の中の狐と山羊の画像
    イソップ寓話の教訓No.9「井戸の中の狐と山羊」
  • イソップ寓話の教訓No.1「鷲と狐」

    親しい相手こそ気遣い、配慮は大切だ!

    ストーリー

     鷲と狐が友達になって同じ木に住むことになった。一緒に住めば友情も、より一層深まると考えたからだ。 鷲は木の一番高いところに巣を作り、狐は木の根元の茂みで子育てをすることになった。

     ところがある時、狐が餌を探しに出かけた隙に、食べ物に困った鷲は木の根元に舞い降りて狐の子供をさらって、雛と一緒になって食べてしまった。 帰ってきたキツネは事の次第を悟ったものの、飛んでいるものに仕返しの手立てがなく、上を見上げ鷲を呪っていた。

     あるとき野原で生贄の山羊が焼かれているとき、鷲が舞い降りて火のついた肉を失敬した。 巣に持ち帰ったまでは良いが、突風が吹きつけて小枝でできている巣は一気に燃え上がった。このため、まだ羽も生えそろわない雛は焼かれ、地面に落ちてしまった。

     それを見た狐は駆け寄るなり、鷲の目の前で雛を食べてしまった。

     ちょっとした出来事で、不用意な一言で、何十年間の友情も霧と消える。軽い気持ちの言動が知らずに誰かを傷つけることがある。その痛みは心に残り何かあるごとに顔を出す。だから忘れることができない。そして友情の破綻につながる。
    友情は繊細な糸のようなもの。強く引っ張れば切れ、無視すればほつれる。だからこそ、日々の言葉と行動に心を込めることが大切だ。親しい相手こそ気遣い、配慮は大切だ。

    鷲と狐の画像
    イソップ寓話の教訓No.1「鷲と狐」

    類似教訓
    イソップ寓話の教訓No.65「旅人と熊」