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No.030「遭難者とアテナ女神」

 大金持ちのアテナイ人が船旅をしていた。ある時、猛烈な嵐に襲われ、船が転覆してしまった。乗客は全員が海に投げ出されたので、泳いで助かろうとしているのに、アテナイ人はひたすらアテナ女神に助けを求め「助かった暁には沢山の供物をささげる!」と祈るばかりであった。
 すぐそばで泳いでいた男が、アテナイ人に向かって言った。
 「女神に祈るのも良いが、自分の手も動かせ!」

 この話は、祈るだけで助かると思い込む人間に甘さを突きつけながら、願望と行動はセットでなければ意味がない」という教訓を示す話です。
 大金持ちであっても、海に投げ出されれば皆同じ。そこで露わになるのは“普段どれだけ自分で動いてきたか”という習慣です。
 アテナイ人は「供物を捧げる」と大げさに誓うけれど、肝心の“泳ぐ”という現実的な行動を放棄している。隣の男の「自分の手も動かせ」という言葉は、まさに本質的な怠惰への鋭い指摘です。

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