カテゴリー: イソップ寓話

イソップ寓話にまつわる教訓を掲載

  • イソップ寓話の教訓No.78「船旅をする人々」

    ストーリー

     人々が船に乗り込んで航海にでた。ところが沖に出たところで嵐となり、船は今にも沈みそうになった。乗客の一人は着物を引き裂き、泣きわめきながら祖国の神々に呼びかけて、皆の命が救われたなら、感謝の供物をささげると約束した。
     嵐がやむと、安堵の気持ちから、祝宴をあげ踊ったり跳ねたりした。しかし舵取りの男は堅実だったので、彼らに対して言った、
     「皆さん、また嵐に会うかもしれない、という気持ちで喜ばなければなりません!」

    禍福はあざなえる縄の如し。はしゃぎ過ぎは禁物だ。

  • イソップ寓話の教訓No.63「弁論家デマデス」

    ストーリー

    弁論家デマデスがある時、アテネで演説をしていたが、聴衆が少しも身を入れて聞かないので「イソップ寓話を語らせてほしい」と頼んだ。

    同意が得られたので語り始めて言うには、

    「デメテル女神と燕と鰻が道連れになった。川のほとりにさしかかった時、燕は空へ飛び、鰻は水に潜った。」デマデスはこれだけ言って黙った。すると聴衆が、

    「デメテル女神はどうなったんだ?」と尋ねるので、デマデスが言うには、
    「お前たちに腹をたてていなさるのだ。国の問題を聞かず、イソップ寓話を聞きたがっているのだから。」

    ※デマデス:古代ギリシャ、アテナイの政治家。貧しい一家に生まれ、一時は船員として働いていたが、巧みな弁舌と狡猾な性格によって、アテナイで高い地位に昇った

    多くの人は難しいことを避け簡単な事に流れる。しかし賢明なことではない。

    政治家デマデスの画像
    イソップ寓話の教訓No.63「弁論家デマデス」
  • イソップ寓話の教訓No.51「農夫と蛇」

    子供を蛇にかみ殺された親の話

    ストーリー

     農夫の子に蛇が這いよってかみ殺した。

     農夫の悲しみは一通りでなく、斧を手に取ると蛇穴の前へ行って「出てきたら一打ちにしてやる!」と見張っていた。

     蛇が首を出したので斧を振り下ろしたが、狙いが外れて側にある岩を二つに割ってしまった。

     その後、用心深くなった農夫が、蛇に仲直りを申し出たところ、

     蛇は「割れた岩を見たら、あんたと仲良くすることは出来ない!あんたも息子の墓を見ればそうだろう!」

    心の傷は癒すのが難しい。
    「自分が心から愛情を持って接したら相手は変わるはず」、「自分が変われば相手も変わるはず」と思うのは幻想だ。仇敵でも片思いの相手でも同じこと。そんな幻想を抱いていたら、変わらない現実を知った時に打ちのめされるだけ。現実は変わらないと思っていた方が心の傷が浅くて済むだろう。

    農夫と蛇の画像
    イソップ寓話教訓No.51「農夫と蛇」
  • イソップ寓話の教訓No.50「鼬(イタチ)とアプロディテ」

    見た目を変えても中身を変えるのは難しい!

    ストーリー

    鼬がハンサムな若者に恋をして「自分を女性の姿に変えてください」とアプロディテに祈った。女神は鼬の切ない気持ちを憐れんで、美しい乙女に変えてやった。
    すると若者もそれを見て恋に落ち、妻にしようと家に連れて帰った。
    二人が寝室でくつろいでいると、アプロディテは鼬がその姿を変えたものの、性格も改めたかどうか確かめたいと思い、鼠をポンと放り込んだ。
    彼女は今の身の上を忘れ、ベッドからとび起きるや、食ってやろうと鼠を追いかけまわした。
    その姿を見た女神はいたく立腹し、彼女を元の姿に戻してしまった。

    見た目を変えても中身を変えるのは難しい。

    イタチと女神の画像
    イソップ寓話の教訓No.50「鼬とアプロディテ」
  • イソップ寓話の教訓No.32「人殺し」

    人生はなるようにしかならない、と気持ちを切り替える。

    ストーリー

    人を殺した男が、相手の身内に追われていた。

    ナイル川のほとりまで来たところ、狼と鉢合わせして、恐ろしくて川辺に生える木に登り、身を潜めていた。

    すると毒蛇が頭上で口を開けている。

    そこで川に飛び込んだところ、ワニが待ち受けていて、人殺しを食べてしまった。

    追われている者には気の休まる時も場所も無い。仕事に追われている、生活に追われている、育児に追われている、これでは体もメンタルもまいってしまう。人生はなるようにしかならない、と気持ちを切り替えることも大切だ。

    人殺しの画像
    イソップ寓話の教訓No.32「人殺し」
  • イソップ寓話の教訓No.25「翡翠(カワセミ)」

    ストーリー

    カワセミは敵を警戒して、海辺の断崖に巣をつくる鳥だ。

    ある時、お産の近いカワセミが岬にやって来て、海に突き出た岩を見つけ、そこで雛を育てることにした。

    ところが餌を求めて出かけた間に、突風のため海が波立ち、巣が波にさらわれて雛を死なせてしまった。

    戻ってきたカワセミは事の次第を悟るとこう言った。

    「ああ、情けない!陸は安心できないので、海に逃げて来たが、一層信用できない場所だったとは!」

    危険はあると思っている人にしか見えない。

    カワセミの画像
    イソップ寓話の教訓No.25「翡翠(カワセミ)」
  • イソップ寓話の教訓No.24「腹のふくれた狐」

    ストーリー

    腹をすかせた狐が、木の洞穴に、羊飼いの置いていったパンと肉を見つけ、中に入って食べてしまった。
    腹がふくれ外に出られずに嘆き悲しんでいると、別の狐が通りかかり、嘆き声を聞きつけると近づいて訳を訪ねた。
    そして事の次第を聞くと、中の狐に言った。
    「入った時と同じ状態になるまで、そこに居ることだ。そうすれば簡単に出られるさ!」

    自らの行いで受けた報いは解決までに時間がかかる。(=時間はかかるが時が解決してくれる)

    腹のふくれた狐(イソップ寓話)
    イソップ寓話の教訓No.24「腹のふくれた狐」
  • イソップ寓話の教訓No.23「鶏と山うずら」

    ストーリー

    家で鶏を飼っている男が、よく馴れた山うずらの売り物に出会って、一緒に育ててやろうと買って持ち帰った。

    ところが鶏たちが突っついたり、追いかけましたりするので、山うずらは「種類が違うから仲間外れにされる!」と悲観していた。

    しかし、程なくして、鶏たちが喧嘩をし、血を流すまで離れないのを見て、独り言で言った。

    「鶏に突っつかれても、苦にならないぞ。あいつら同士だって容赦しないのだ!」

    平等な辛さなら、その辛さも我慢できる。

    鶏と山鶉の画像
    イソップ寓話の教訓No.23「鶏と山鶉」
  • イソップ寓話の教訓No.22「狐と木こり」

    ストーリー

    キツネが狩人から逃れて来て、木こりを見つけたので「かくまってください」と頼んだ。木こりは、小屋に隠れるように狐に勧めた。
    間もなく狩人たちがやって来て「狐がこっちへ来なかったか?」と尋ねるので、木こりは口では「見ていない」と答えながら、手で狐の隠れている所を指して教えていた。しかし狩人たちは、木こりの手の動きに気づかづ立ち去った。
    狐は狩人たちが立ち去ると、木こりに挨拶もしないで行こうとした。それを見た木こりは「命を救ってもらいながら、お礼も言わないのか!」と狐を非難した。
    狐は答えて「あなたの手の動きが言葉と同じなら、私は感謝もしますがね。」

    八方美人は、どこかで誰かを裏切っている。そしてこの裏切り行為は必ず誰かが見ている。仮に見られていなかったとしても雰囲気で伝わる。すると人が離れてゆく。

    キツネと木こりの画像
    イソップ寓話の教訓No.22「キツネと木こり」
  • イソップ寓話の教訓No.17「尻尾のない狐」

    ストーリー

    狐が罠にかかってしっぽを切り取られた。

    生きているのも恥ずかしく辛いので、他の狐も同じようにしてやろうと考えた。みんなを同じ目に遭わせて自分のボロを隠そうと考えたのだ。

    こうして全員を集めると、こんなものは不細工なだけでなく、余計で重いものをつけていることになると言って、しっぽを切るように勧めた。

    すると中の一匹が言うには、

    「おいおい、もしそれがお前に都合の良いことなら、わざわざ勧めないだろう!」

    本当に得になる話は他人に話さない。

    尻尾のない狐の画像
    イソップ寓話の教訓No.17「尻尾のない狐」
  • イソップ寓話の教訓No.14「家柄を競う狐と猿」

    ストーリー

    旅の道連れとなった狐と猿が、家柄を競い合った。

    双方が言い合っているうちに墓地にさしかかると、猿は一点を見つめてシクシク泣き出した。

    狐がその訳を聞くと、猿はお墓を指しながら

    「ご先祖さまが解放した奴隷や使っていた奴隷の墓をみたら、泣かずにはいられない!」

    と言った。それに対して狐は

    「好きなだけ嘘をつけばいい。生き返ってお前に文句を言うものは誰もいないだろうからな!」

    誰も知らないと思って嘘をついても、感づかれて信用を落とすのが落ちだ。

    家柄を競う狐と猿の画像
    イソップ寓話の教訓No.14「家柄を競う狐と猿」
  • イソップ寓話の教訓No.13「石を曳き上げた漁師」

    結果を見る前に大きな期待は禁物だ!

    ストーリー

    漁師たちが地引網を曳いていた。網が重いので大漁だと思い喜んでいた。

    しかし浜に引き寄せてみると魚はわずかで、網の中は石や木ばかりだった。

    漁師たちは落胆と同時に腹が立った。

    漁師の中の老人が言うには、

    「腹を立てるのはやめよう!良いことと悪いことは隣りあわせだ。あれほど喜んだのだから、落胆するのも仕方ない」

    結果を見る前に都合の良い想像をして喜ぶと、期待が外れた時の落胆は大きい。落胆した自分に嫌気がささぬよう、冷静になることだ。

    石を引き上げた漁師の画像
    イソップ寓話の教訓No.13「石を曳き上げた漁師」