カテゴリー: イソップ寓話

イソップ寓話にまつわる教訓を掲載

  • イソップ寓話の教訓No.10「ライオンを見た狐」

    習慣は恐怖を和らげる!

    ストーリー

     ライオンを見たことのない狐がライオンにばったり出会った。

     初めて目にした時は死にそうなくらいに驚いたが、次に出くわした時は、怖かったが最初ほどでなかった。

     三度目に見た時は、近寄って話しかけるほどになった。

    習慣は恐怖を和らげる。
    未知への恐怖は経験によって克服できるという教訓だ!

  • イソップ寓話の教訓「狼と飼い犬」

    安定と自由は両立できない!

    ストーリー

     まるまる太った飼い犬が立派な首輪をはめられ、鎖につながれていた。

     それを見た狼は言った。「お前は鎖につながれて、いつもそこに居るな。自由に動けないから、つまらないだろ!」

     飼い犬は答えた。「飼い主に可愛がられているし、餌もたくさんもらえるのですよ。これ以上の幸せはあえりませんよ。」

     狼は答えて「奴隷の身で腹いっぱい食べるより、腹が減っても自由でいるほうがマシだ!」

    「安定」と「自由」は両立できない。自分が現状に満足していれば、相手を羨ましいとは思わないのだ。相手を羨ましいと思う時は現状に不満がある証拠。それは自分を変えるきっかけになる。しかし行動する前に、本当に自分が望んでいることか、よく観察し考えることだ。安易な判断に基づいた行動は、取り返しのつかない後悔につながるのだ。

  • イソップ寓話の教訓No.86「ミルテの繁みの鶫(ツグミ)」

    バランスが大事!

    ストーリー

     鶫がミルテの繁みで実をついばみ、その実の甘さに飛び去りかねていた。すると鳥刺しが、その場所から離れられない鶫を見つけると鳥もちで捕まえた。

     鶫が言うには、
    「ああ、情けない。命の糧である実を食べるために、命を奪われるなんて!」

    ミルテ:地中海沿岸が原産の常緑低木。結婚式などの祝い事に使われ、愛や不死、純潔を象徴する。
    鶫(ツグミ):背は茶色、顔は黄白色。シベリアなどで繁殖し、秋に大群で日本に渡来する。

    仕事においても、日常生活においても、一つの事に集中しすぎると自分を取り巻く環境が見えにくくなる。そんな時こそ、トラブルが迫っている可能性が高い。バランスが大事なのだ。

    ※類似教訓
    イソップ寓話の教訓No.80「蠅」

  • イソップ寓話の教訓「ヤマアラシとモグラ」

    助ける時は人を見て行う!

    ストーリー

     ヤマアラシが冬を越すための家を探していた。気に入った洞穴を見つけたが、すでにモグラの家族が住んでいた。

     ヤマアラシは「モグラさん、寒い冬の間、一緒に住まわせてもらえないか」と頼んだ。モグラはヤマアラシに同情し承諾した。すぐにヤマアラシはこの洞穴に越してきた。

     一緒に住んでみると洞穴が狭く、モグラは自分が動きまわるたびにヤマアラシの針毛が刺さった。モグラは針毛の痛みに我慢ができなくなり、ヤマアラシに出て言ってほしいと頼んだ。

     ヤマアラシは言った「この洞穴は住み心地が良いんだ。嫌ならモグラさんが出て行ってくれ。」

     世に中には好意をあっさり忘れる者、私欲のために悪だくみをする者が存在する。助ける時には人を見て行うことだ。
     お人好しほど貧乏になりやすい。相手の気を悪くしないように断る理由を持っておくことが必要だ。

  • イソップ寓話の教訓No.471「虱(シラミ)と農夫」

    同じことの繰り返しは後退を意味する!

    ストーリー

    農夫が畑仕事をしていると、虱がこっそり咬みついた。農夫は仕事の手を止め、シャツの掃除をした。するとまた虱が咬みついた。
    二度までは耕作の手を止めシャツの掃除をしたが、またも咬まれるので、再三仕事の手を止めなくても良いように、シャツを火にくべ、燃やしてしまった。

    教訓
    一度うまくいったからと同じことの繰り返しは後退を意味する。絶えず新たな方法の模索を続け、自分を磨き続けなければ自滅するのだ。

    イソップ寓話の教訓「虱と農夫」
    イソップ寓話の教訓No.471「虱(シラミ)と農夫」
    David MarkによるPixabayからの画像
  • イソップ寓話の教訓No.469「ライオンに欺かれた牛」

    おだてに乗らず、その言葉の真偽を見極める冷静さが必要だ!

    ストーリー

    ライオンが牛を見つけた。
     食べたいが角にやられるのが怖い。力で勝つには危険が大きいと見た時は謀をするものだと考え、ライオンは友情を装い牛にすり寄った。
    「あなたの強さには感服です。美しさも驚くほかありません。その頭、お姿、なんと素晴らしい。ただ残念なのは、頭の上に大きな荷物を載せておられる。そんなものは外してしまいなさい。見た目が良くなるし、頭が軽くなりますよ!」
     牛はライオンの褒め言葉に従って角を捨ててしまった。するとライオンは、だまされた牛を餌食にした。

     褒められれば誰でも気分が良くなり相手に気を許す。そんな時こそ、おだてに乗らず、その言葉の真偽を見極める冷静さが必要だ。
     言葉巧みに、焦らせたり、ほめたり、おだてたりする者ほど信用してはいけない。裏の企てがなければ、そのような事はしないからだ。
     角(自分の長所や武器)を捨てる前に、誰の言葉に耳を傾けているのか、よく見極めろ。

  • イソップ寓話の教訓No.454「鼠と牡蛎」

    都合の良いもうけ話は災難を招く!

    ストーリー

     なんでも食いつく鼠が餌を探して家の中をうろついていた。
     すると殻を大きく開けた牡蛎を見つけたので、その身に噛り付いた。
     そのとたん牡蛎は殻をパタンと勢いよく閉じたので、鼠は首を挟まれた。
     鼠は餌だと思って近づいた牡蛎に捕まってしまい、逃げられなくなった。

    都合の良いもうけ話に飛び付くと自ら災難を招くことになる。上手い話はそうそう無いのだ。また強欲は下品さの表れだ。「自分が強欲になっている」と思ったら反省する機会ととらえることだ。

  • イソップ寓話の教訓No.451「羊の皮をかぶった狼」

    はかりごとは災難を招く!

    ストーリー

     ある時、狼はたらふく餌にありつくためには、どうすれば良いか考えていた。
     すると、羊の皮が置き去りにされているのを見つけ、姿を変えれば獲物に近づけるだろうと考えた。
     羊の皮を被るとまんまと羊飼いを欺き、羊の群れに交じって草をはんでいた。
     夜になると、狼も羊小屋に押し込められた。羊飼いは晩飯にしたいと思い、ナイフを持って羊小屋に入って行った。
     羊飼いが晩飯のために手を付けたのは、羊の皮を被った狼だった。

     策を弄しても事はうまく運ばないと心得よ。誰でも自分の過去を振り返れば明らかだ。羊の皮を被るなどと姑息な事をするから被害に合うのだ!後悔しないために、常に自分のやり方を貫くべきだ。
    自分に対する誠実さは遠回りでも、最終的には自分を守ることになるのだ!

  • イソップ寓話の教訓No.421「船乗と息子」

    口先だけで世渡りする奴はさみしい思いをする!

    ストーリー

     ある船乗に息子がいて文法学を学ばせたいと考えた。そこで学校に行かせたところ、その息子は文法学を極めた。
     その後、息子は父親に言った「お父さん、次は修辞学を学ばせてください。」
     息子の言葉に父親は賛成し、再び学校に入れた。息子は十分な勉強を行い修辞学者になった。
     ある日、親子三人で食事をしていた時のこと、「文法学と修辞学は思いのままだ!」と息子が両親に言うので、父親は「文法を正しく学んだ者は文章を間違えることがないと聞いている。その学問の実例を見せてくれ」と言った。
     すると息子は、
    「この鶏を文法の規則に従って分配することによって、文法がその他の諸学に勝ることをお見せしましょう。」
     息子は鶏を切り分けながら言った。
    「お父さん、あなたには頭を差し上げます。あなたは、この家の頭で誰もあなたに頭が上がりませんから。」
    「お母さん、あなたには足です。日がな一日、家の中を走り回って山ほど用事を抱えています。足がなければそれもできませんから。」
    「胴体は僕に一番ふさわしい!豊かな教養を生かして、口先一つで世渡りすることが出来る人間ですから。」
    このように言って息子は鶏を食べ始めた。
     父親は頭にきて、息子の鶏を取り上げると、こう言った
     「お前は文法を使って鶏を三分割したが、私は修辞学で二分割だ!その一つは私が食べ、もう一つはお前のお母さんだ!お前は自分の修辞学で作り出したところを食べるが良い。」

    ※修辞学:弁論、演説の技術で聴衆を説得するための学問。相手を丸め込むという意味もある。

     言葉の力で現実を操作したり、自分を正当化することは、周りの目には挑発的で不遜に映り、いずれ制裁が下される。
     口先だけで世渡りする奴はさみしい思いをするが良い。

  • イソップ寓話の教訓No.29「炭屋と洗濯屋」

    相性の良い仲間に恵まれないと、良い仕事はできない!

    ストーリー

     炭屋の近くに洗濯屋が店を開いた。
     炭屋は洗濯屋をたずね、一緒に住もうと誘った。炭屋は、身内同然に仲良くなれるとか、経済的だとか、いろいろ理由をつけて誘ったのだが、洗濯屋は、
    「私にはできない。私が白くしたものを、あなたは炭で黒くするだろう。」

     仕事のできる者が組んでも相性が良くなければストレスがたまる、摩擦が生まれる。相性の良い仲間に恵まれないと良い仕事はできない。
     チームのメンバーと上手に付き合っているだろうか?自分だけ美味しいところを持って行っていないか?自分だけ損をしていないか?定期的に点検が必要だ。

    ※類似の教訓
    イソップ寓話の教訓No.94「父親と二人の娘」

  • イソップ寓話の教訓No.88「ヘルメスと彫刻家」

    自己評価と他者評価のギャップ!

    ストーリー

     ヘルメスは人間界でどれほど尊敬されているか知りたいと思い、人間に姿を変えて彫刻家の工房へ入って行った。
     ゼウス像を見つけて「値段はいくらかね?」と尋ねたところ
     「1ドラクメです」との答え。ずいぶん安いのでおかしくなり、
     「ヘラの像はいくらだ?」と聞くと、もっと高いという。
    自分の像もあった。自分は神々の使者で利殖の神だから、さぞかし高い値段をつけているだろうと思い、重ねて尋ねた。
     「では、このヘルメス像は?」すると彫刻家が言うには、
     「さっきの2体を買ってくださるなら、おまけで差し上げますよ!」

    ※ドラクメ:ギリシャの通貨単位
    ※ゼウス:ギリシア神話の全知全能の神
    ※ヘラ:ゼウスの正妻、最高位の女神
    ※ヘルメス:青年神、利殖の神

     自分が重要だと思っていることが、他者にとってはそうでもないということは、よくある事だ。
     自己評価と他者評価は常にギャップがあると思え。そうすれば、他者評価が自分の思いに反して良くないとしても、気持ちの落ち込みは軽くて済む。

  • イソップ寓話の教訓「猫と鸛(コウノトリ)」

    言葉の裏に潜む目的!

    ストーリー

     鸛(コウノトリ)が鰻をくわえていた。それを見た猫は鰻が欲しくなり、奪ってやろうと考えた。
     そこで猫が鸛(コウノトリ)に尋ねた。
    「ああ、君のくちばしは赤くて綺麗だ!内側も赤いのかい?」
     鸛(コウノトリ)は鰻を落とさないように、口を閉じたまま黙っていた。 すると猫は「君は耳も聞こえない、口もきけないのか。答えたらどうなんだ!」と言った。
     鸛(コウノトリ)は何も言わず、鰻をくわえたまま立ち去った。

     他人が勝手に近づいて来て、あれこれ言う時は裏の目的がある。要注意だ。