日本の昔話の教訓「山姥の隠れ蓑」

道が開けるまで辛抱する!

ストーリー

 むかし、ある山国の田舎に、美しい一人の娘がありました。

 春の日に村人たちと山へ遊びに行って、自分だけ道を間違えたようで、村へ帰ることが出来なくなりました。

 だんだん日が暮れて、山道は真っ暗です。不気味な動物の鳴き声が聞こえだし、心細くなりながら歩いていると、向こうにたった一つ、明かりが見えたので、ほっとして訪ねていきました。

 「こんばんは、どなたかおりますか?」と、外から声をかけると、出てきたのは山姥で「ここは人食いの家だ!泊めるわけにはゆかぬ。普通の人の家を探しなされ」と言うのです。

 娘はぞっとしたものの「今夜のような暗い晩に、山の中を歩いていれば、熊か狼に食べられるに決まっております。それでしたら、こちらで食べられたほうがまだ良いのです。」と答えました。

 娘を哀れに思った山姥は、家の奥から蓑を持って来ると娘に渡し「大事な宝だが、これをお前にあげる。これを被ってもっと先へ行くが良い。この蓑を着て叶え事を三回となえると、自分の思った通りの姿になれる。また、欲しいと思うものは、この蓑を振ると何でも出てくる」と言います。

 娘は、さっそくよぼよぼのお婆さんになって、山姥の家を出発しました。

 途中、鬼が通行人を待ち伏せするところがあったのですが、よぼよぼのお婆さんを見て、「盗るものは無いだろう」と、無事に通ることが出来ました。

 夜明けごろ、知らぬ里に出ることが出来て、ある長者の家の前に着きました。どこでも良いので置いてほしい、とお願いすると、「お婆さまもお困りだろうから、長屋の空いているところに居るが良い」、と言って住まわせてもらえることになりました。

 その長屋では、昼は糸つむぎをして暮らしをたてながら、夜はもとの娘になって、手習いをしていました。

 ある時、その家の下男が手習いをしている娘を見つけたので、化け物かと思い長者どのに話しました。

 次の日、長者どのは、お婆さんを呼んで問いただしてみますと、山姥にもらった隠れ蓑の話を始めました。長者殿は娘の家をさがし、今までの話をしたそうです。

 娘の家では大喜びでした。その後、娘は長者の家へ嫁ぐことになり、一家仲良く栄えたそうであります。

どんな時でも腐らず諦めなければ、いずれ道は開けます。道が開けるまで辛抱できるかどうかで、その後の展開が変わります。

日本の昔話の教訓「山姥の隠れ蓑」

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