イソップ寓話の教訓No.181  「驢馬(ロバ)と騾馬(ラバ)」

協力のタイミングと量の見極め

ストーリー

 驢馬追いが驢馬と騾馬に荷物を載せて追っていた。
 驢馬は平地を行く間は重荷に耐えていたが、山の麓に来ると担いだままでは行けないので、荷物の一部を担いでくれるよう騾馬に頼み、残りは自分で運ぼうと考えた。
 ところが騾馬は驢馬のなまけ癖を知っているので、その頼みを断った。
 驢馬は、しばらく山道を歩いていたが荷物の重みに耐えかね崖から転落して荷物に押しつぶされてしまった。
 驢馬追いは仕方ないので、驢馬の荷物を騾馬に上積みしたばかりか、驢馬の皮を剥いで乗せた。
 騾馬は荷物の重さに苦しみ、独り言でいった。「当然の報いだ。驢馬が助けを求めたとき、言うことを聞いて少し軽くしてやっていたら、あいつとあいつの荷物を運ばなくて良かっただろうに。」

※ロバ:粗食で頑丈な体を持つ馬科の動物
※ラバ:雄のロバと雌の馬の雑種

 怠け癖という個人の属性に囚われ、状況判断を誤った騾馬は、結果的に全体の負荷を引き受ける羽目になった。
 これは、組織や社会において「誰かの失敗を見捨てることが、結局は自分の責任になる」構造とよく似ている。
 単なる「情けは人のためならず」ではなく、戦略的な共助の重要性を説いている寓話だ。
 だからこそ、相手が困っているなら少しは協力すべきだ。そうしなければ、相手が潰れたとき、そのつけが自分に回ってくる。
 とはいえ、常に協力し続ければ、その善意が当然視され、やがて自分が過剰な負担を背負うことになる。
 協力の加減と境界線を見極めることこそが、成熟した共助の鍵である。
 あなたの協力は、戦略的かつ持続可能なものになっているだろうか。

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