イソップ寓話の教訓No.8  「造船所のイソップ」

傲慢さの足元

ストーリー

 ある時、寓話作家のイソップは造船所へ行った。船大工たちが彼をからかって、言い返さずにはいられぬように仕向けたので、イソップはこんな話をした。
 その昔、カオスと水が生じたが、ゼウスは土の要素も出現させたいと思い、三度海の水を飲みこむよう大地を促した。
 大地は仕事にかかると、まず最初に山々を現し、再び飲み込んで平野を露出させた。
 「もしも大地が三度目も水を飲みこむことをすれば、お前たちの仕事は無くなり何の役にも立たない者になるのだぞ!」

ゼウスが「土」を出現させるため、大地に海水を三度飲み込むよう命じた。
一度目:山々が現れる。
二度目:平野が現れる。
三度目:もしそれが起きれば、海が消え、船を造る意味は失われる。
 船大工たちの存在意義は、海があるという前提の上に成り立っている。
 自分の仕事が他者より価値があると信じる傲慢さ ── 船大工は寓話作家より、上司は平社員より、国会議員は国民より ── その思い込みは尽きない。
 だが、その価値は環境に依存している。
 上司は部下がいてこそ上司であり、議員は国民の投票によって議員でいられる。
 世界は常に変化し、最後の一歩ですべてが覆ることもある。
 今ある価値は永遠ではない ── そのことを、私たちは肝に銘じるべきだ。

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