イソップ寓話の教訓No.271  「冬と春」

歓迎される力とは!

ストーリー

 冬が春をからかって、こんな悪口を言った。
 春が来たとたん、もう誰もじっとしていない。百合などの花を摘んだり、薔薇を額の飾りにしたり、かんざしにするのが好きな人は、野原や森へと繰り出す。また別の人は、船に乗り海を渡って、どこかへ行こうとする。それに誰も風のこと、洪水のことなど気にかけなくなる。
 それに対して、と冬は言葉を続けて、
 「私は有無を言わせぬ王のようだ!空を仰ぐことなく、地面に目を伏せ、震えさせてやる。時には終日、家に蟄居するもやむなしと思わせてやる」と言ったので、春が言い返した。
 「だからこそ、人間は君が去れば喜ぶのだ」

 権力や恐怖で人を従わせる者は、去ったときに安堵される。
一方、人々に喜びや自由をもたらす者は、自然と歓迎される。
人の心を動かすのは、力による支配ではなく、喜びを与えることなのだ。

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