自分だけは大丈夫と過信しない!
ストーリー
昔ある村で悪い狐が出て、いたずらばかりして困っていたところ、「おれは狐に化かされない」と言って威張っている男がいた。その男がよそから帰ってくると、川原で狐が木の葉を頭にのせて女になり、川藻を丸めて赤ん坊の形にして抱いているのを見かけた。
「あの狐、人をばかすつもりだな。よし、どうするか見ていろ!」と言って、石を拾って投げつけると、それがちょうど赤ん坊にあたって死んでしまった。
母親は泣いて怒って、子供を元の通りにして返せと言う。なんだ、おまえは狐じゃないかというと、ますます腹を立てて承知をしなくなった。
そうしていつまでたっても狐にならないので、見れば見るほど人間の親子に思えてきて、大変なことをしてしまったと思うようになった。いろいろと言葉を尽くしてあやまったが、なかなか一通りの事では許してもらえなかった。
男は「しかたがないので、坊主になって詫びをする」と言って、近くの寺まで一緒に行き、和尚様に頭を剃ってもらった。
その和尚様の剃り方が非常に痛い。あまりに痛いので、やっと正気になって辺りを見回すと、もうさっきの母親も赤ん坊もおらず、和尚も寺も無かった。
剃ってもらったと思った頭の毛は、みんな狐に食いちぎられていたのだった。
「自分だけは騙されない」と過信することは、最も危うい落とし穴である。騙す者は、相手の心の隙や弱さに巧みに付け入り、動揺させて冷静な判断力を奪うのが常套手段だ。誰もがいつ被害者になる可能性があるという意識を持ち、心の準備をしておくことが、冷静さと防御力を保つ鍵となる。
冷静さを保つためには、日頃から自分の感情や思考を観察する習慣を意識することも大切だ。
自分自身を知ることは、最も確かな防御となる。
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