タグ: 慢心を戒める教訓

慢心を戒める教訓

  • イソップ寓話の教訓No.73「海豚(イルカ)と猿」

    ストーリー

    ある人が船出に際し、猿を一緒に乗せた。

    スニオン岬のあたりに来た時、激しい嵐に見舞われた。船が覆り全員が海に飛び込んだところ、この猿も泳ぎだした。

    イルカがこれを人間だと思い、真下にくると背中に乗せて運んでやった。

    そしてアテネの外港ペイライエウスに近づいたところで「アテナイの方ですか?」と猿に尋ねた。

    「その通り、そこの名士の子だ!」と猿の回答に、イルカは「ペイライエウスをご存じですか?」と聞いた。

    すると猿は、てっきり人間のことだと思い「毎日のように会う友人だ!」と答えた。

    イルカはこの嘘に腹を立て、猿を水に突き落とし溺れさせた。

    ※スニオン岬:ギリシャのアッティカ半島の最南端にある岬
    ※ペイライエウス:ギリシャのアッティカ地方にある港湾都市

    愚かな人が知ったかぶりをして振舞っても、すぐにバレてしまう。そのような愚かな振る舞いは事態を悪化させるだけだ。そこから学べることは戒めくらいである。だから同類とならないように離れることだ。

    イルカと猿の画像
    イソップ寓話の教訓No.73「海豚(イルカ)と猿」
  • イソップ寓話の教訓No.78「船旅をする人々」

    ストーリー

     人々が船に乗り込んで航海にでた。ところが沖に出たところで嵐となり、船は今にも沈みそうになった。乗客の一人は着物を引き裂き、泣きわめきながら祖国の神々に呼びかけて、皆の命が救われたなら、感謝の供物をささげると約束した。
     嵐がやむと、安堵の気持ちから、祝宴をあげ踊ったり跳ねたりした。しかし舵取りの男は堅実だったので、彼らに対して言った、
     「皆さん、また嵐に会うかもしれない、という気持ちで喜ばなければなりません!」

    禍福はあざなえる縄の如し。はしゃぎ過ぎは禁物だ。

  • イソップ寓話の教訓No.63「弁論家デマデス」

    ストーリー

    弁論家デマデスがある時、アテネで演説をしていたが、聴衆が少しも身を入れて聞かないので「イソップ寓話を語らせてほしい」と頼んだ。

    同意が得られたので語り始めて言うには、

    「デメテル女神と燕と鰻が道連れになった。川のほとりにさしかかった時、燕は空へ飛び、鰻は水に潜った。」デマデスはこれだけ言って黙った。すると聴衆が、

    「デメテル女神はどうなったんだ?」と尋ねるので、デマデスが言うには、
    「お前たちに腹をたてていなさるのだ。国の問題を聞かず、イソップ寓話を聞きたがっているのだから。」

    ※デマデス:古代ギリシャ、アテナイの政治家。貧しい一家に生まれ、一時は船員として働いていたが、巧みな弁舌と狡猾な性格によって、アテナイで高い地位に昇った

    多くの人は難しいことを避け簡単な事に流れる。しかし賢明なことではない。

    政治家デマデスの画像
    イソップ寓話の教訓No.63「弁論家デマデス」
  • イソップ寓話の教訓No.51「農夫と蛇」

    子供を蛇にかみ殺された親の話

    ストーリー

     農夫の子に蛇が這いよってかみ殺した。

     農夫の悲しみは一通りでなく、斧を手に取ると蛇穴の前へ行って「出てきたら一打ちにしてやる!」と見張っていた。

     蛇が首を出したので斧を振り下ろしたが、狙いが外れて側にある岩を二つに割ってしまった。

     その後、用心深くなった農夫が、蛇に仲直りを申し出たところ、

     蛇は「割れた岩を見たら、あんたと仲良くすることは出来ない!あんたも息子の墓を見ればそうだろう!」

    心の傷は癒すのが難しい。
    「自分が心から愛情を持って接したら相手は変わるはず」、「自分が変われば相手も変わるはず」と思うのは幻想だ。仇敵でも片思いの相手でも同じこと。そんな幻想を抱いていたら、変わらない現実を知った時に打ちのめされるだけ。現実は変わらないと思っていた方が心の傷が浅くて済むだろう。

    農夫と蛇の画像
    イソップ寓話教訓No.51「農夫と蛇」
  • イソップ寓話の教訓No.50「鼬(イタチ)とアプロディテ」

    見た目を変えても中身を変えるのは難しい!

    ストーリー

    鼬がハンサムな若者に恋をして「自分を女性の姿に変えてください」とアプロディテに祈った。女神は鼬の切ない気持ちを憐れんで、美しい乙女に変えてやった。
    すると若者もそれを見て恋に落ち、妻にしようと家に連れて帰った。
    二人が寝室でくつろいでいると、アプロディテは鼬がその姿を変えたものの、性格も改めたかどうか確かめたいと思い、鼠をポンと放り込んだ。
    彼女は今の身の上を忘れ、ベッドからとび起きるや、食ってやろうと鼠を追いかけまわした。
    その姿を見た女神はいたく立腹し、彼女を元の姿に戻してしまった。

    見た目を変えても中身を変えるのは難しい。

    イタチと女神の画像
    イソップ寓話の教訓No.50「鼬とアプロディテ」
  • イソップ寓話の教訓No.32「人殺し」

    人生はなるようにしかならない、と気持ちを切り替える。

    ストーリー

    人を殺した男が、相手の身内に追われていた。

    ナイル川のほとりまで来たところ、狼と鉢合わせして、恐ろしくて川辺に生える木に登り、身を潜めていた。

    すると毒蛇が頭上で口を開けている。

    そこで川に飛び込んだところ、ワニが待ち受けていて、人殺しを食べてしまった。

    追われている者には気の休まる時も場所も無い。仕事に追われている、生活に追われている、育児に追われている、これでは体もメンタルもまいってしまう。人生はなるようにしかならない、と気持ちを切り替えることも大切だ。

    人殺しの画像
    イソップ寓話の教訓No.32「人殺し」