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慢心を戒める教訓

  • イソップ寓話の教訓No.170「病人と医者」

    見た目だけの判断では、本当の意味での理解はできない

    ストーリー

     病人が医者に容態を聞かれ「異常に大汗をかいた」と答えると、「それは良いあんばいだ」と医者は言った。

     二度目に様子を聞かれ「悪寒がして止まらない」と答えると、「それも良いあんばいだ」と医者は言った。

     三度目にやって来て具合を尋ねるので、「下痢になった」と答えると、「それはまた良いあんばいだ」と言って医者は帰って行った。

     親戚の者が見舞いに来て、「具合はどうだ?」と聞くので、

     病人が答えた。「良いあんばいのおかげでもう駄目だ!」

    見た目だけの判断では、本当の意味での理解はできない。

    類似教訓
    日本の昔話の教訓「二十三夜さま」

  • イソップ寓話の教訓No.98「屋根の上の仔山羊と狼」

    立場は人を強くする!

    ストーリー

     仔山羊が屋根の上に登って、通りがかりの狼に悪態をついた。

     それに対して狼が言うには、

     「おれに悪態をつけるのはお前ではなく、その場所のおかげだ!」

    立場は人を強くする。たとえ最初は力のない者でも、時を経て組織や社会のなかで高いポジションに着くようになれば、そのポジションに合うように強くなる。

    後輩が自分より出世して上司になったとき倍返しされないように、今のうちにやさしくしておきましょう。

  • イソップ寓話の教訓No.89「ヘルメスとテイレシアス」

    人を試すことは自分も試される!

    ストーリー

     ヘルメスはテイレイシアスの予言が本物かどうか試してみたくなって、彼の牛を畑から盗んでおいて、人間に姿を変えて町へでかけ彼の家に行った。

     一対の牛がいなくなったとの知らせが入ったので、テイレシアスはヘルメスを伴って郊外へ出かけた。盗難について鳥占いをするため「何か鳥を目にしたら教えてくれ!」とヘルメスに頼んだ。

     ヘルメスは初めに鷲が左から右へ飛び過ぎるのを見たので、それを言った。

     ところがテイレシアスは「それは牛とは無関係だ!」と言う。

     次にヘルメスは烏が木にとまり、空を見上げたり地面をのぞき込んだりするのを見たので、それを説明したところ、テイレシアスが言うには、

    「その烏は天と地にかけて証言しているぞ。お前さえその気になれば、私の牛が戻ってくる、とな!」

    ※ヘルメス 富と幸運をもたらす守護神と考えられた。
    ※テイレシアス 名高い盲目の予言者。

    人を試すことは自分も試されている。自分で悪事を働きながら、被害者の前に現れて無関係を装っても見透かされる。そして、いつ白状するのか観察されている。当然に信頼関係は壊れる。

    類似教訓
    イソップ寓話の教訓No.57「老婆と医者」

    ヘルメスとテイレシアスの画像
    イソップ寓話の教訓No.89「ヘルメスとテイレシアス」
  • イソップ寓話の教訓No.56「女魔法使い」

    知識を持つ!

    ストーリー

    魔法使いの女が神様の怒りを解く呪文やお祓いを売り物にして、またそれがよく当たり、相当なお金を貯めこんでいた。

    ところが人々は、この女が宗教の改革を企てるものだとして告発し、裁判を受けさせ、罪状をあげて死刑判決を下した。

    裁判所から引き出された女を見たものが言うには、

    「おい、お前は神様の怒りを解くことができるのに、どうして人間の怒りを解くことができなかったんだ」

    知識を持つこと。いろいろな自然現象も自然や科学の知識があれば、原因を究明できる。何も知識のない人に、呪術的な言動で自然現象を伝えれば、信じることがあるかもしれない。人は知らないことに、ある種の恐怖を抱く。魔法使いとは、その程度のものだろう。

    女魔法使いの画像
    イソップ寓話の教訓No.56「女魔法使い」
  • イソップ寓話の教訓No.48「ナイチンゲールと蝙蝠」

    トラブルに会ってから行動を変えても遅い!

    ストーリー

    窓辺につるされたナイチンゲールが、夜になると歌を歌っていた。

    蝙蝠が歌を聞きつけ、近くに来て「昼間は静かにしているのに、なぜ夜になると歌うのか?」と訳を尋ねた。

    ナイチンゲールは「これには深い訳があるのです。ある日、昼間に歌っていて捕まったので、それ以来、昼間に歌うのは懲りたのです」と答えると、

    蝙蝠が言うには、
    「今ごろ警戒しても始まらないよ。捕まる前にすべきだ!」

    困難に会ってから行動を変えても遅い、油断禁物だ。
    窓辺につるされた鳥籠から知恵と行動力で飛び立つ鳥がいるように、万一困難にあっても克服する気概を持ちたいものだ。

    ナイチンゲールと蝙蝠の画像
    イソップ寓話の教訓No.48「ナイチンゲールと蝙蝠」
  • イソップ寓話の教訓No.47「内臓を吐く子供」

    欠乏感は増幅する!

    ストーリー

    野原で生贄の牛を焼く人達が隣人を招いた。その中に貧しい女がいて、腹を空かした子供も一緒にやってきた。宴会が行われているあいだずっと、この子供はもつ焼きを食べ続けていたので、お腹がはちきれんばかりに膨らんだ。
    子供は「お母さん、内臓を吐きそうだよ」と言うと、
    母親が答えて言うには、
    「坊や、それはお前の内臓ではなくて、お前が食べた牛の内臓だよ。」

     欠乏感は増幅する。自分の中に生まれた欠乏感は「欲しい欲しい、足りない足りない、もっともっと」と、求めてもがきまわる。
    必要以上に詰め込んで、出すときは自分の身を削るがごとく感じてしまう。
     現代社会への教訓として、貧困であるが故の無知な子供が、生贄を無制限に食べることで、神聖なものを食べ尽くす、ある種の「無知」を象徴している。隣人の善意で招かれた宴が、貧しい者にとっては、逆に苦しみを生むことになる。
     つまり、善意は必ずしも幸福をもたらすわけではなく、受け取る側の理解が必要なのだ。