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No.028「食わせ者」

 貧しい男が病に伏し、症状が悪化したので「命を救って下さったら、牛百頭を捧げます」と神に祈った。そうしたところ、神様はこの男を試してみようと、すぐに病から回復させた。
 男は本物の牛を調達できないので、小麦粉をこねて牛百頭を作ると「神様、約束のものをお受け取りください」と言って祭壇で焼いた。
 神様は、この男に一杯食わせてやろうと、夢を見させた。「海岸に行くがよい。行けばアテナイ銀貨で千ドラクメになるだろう」と夢の中で告げた。
 男は大喜びで海岸へ駆けつけたところ、海賊に連れ去られ、売り飛ばされて、千ドラクメになった。

 男は誓いを守る気がなく、自分の都合のよいように約束を再解釈していました。小麦粉で作った牛を供えるという行為は、誠実さの欠如と神を欺けるという思い上がりを象徴しています。物語は、こうしたごまかしの愚かさを浮き彫りにしています。
 神は男の誓いを受けて病を癒したにもかかわらず、男は偽りの供物で応えました。そこで神は夢を通して「千ドラクメになる」と告げ、男を海岸へ向かわせます。男は海賊に捕らえられ、奴隷として売られ、まさに千ドラクメの値がつきました。
 これは、神が「約束の価値」を男自身の身に置き換えて回収したという、痛烈で皮肉な裁きです。
 結局のところ、ごまかしや偽りは必ず自分に返ってきます。神(あるいは運命)は、人の欺瞞を見逃さず、誠実さを欠いた者には相応の結果が訪れるのです。

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