ストーリー
人々が船に乗り込んで航海にでた。ところが沖に出たところで嵐となり、船は今にも沈みそうになった。乗客の一人は着物を引き裂き、泣きわめきながら祖国の神々に呼びかけて、皆の命が救われたなら、感謝の供物をささげると約束した。
嵐がやむと、安堵の気持ちから、祝宴をあげ踊ったり跳ねたりした。しかし舵取りの男は堅実だったので、彼らに対して言った、
「皆さん、また嵐に会うかもしれない、という気持ちで喜ばなければなりません!」
禍福はあざなえる縄の如し。はしゃぎ過ぎは禁物だ。
ストーリー
人々が船に乗り込んで航海にでた。ところが沖に出たところで嵐となり、船は今にも沈みそうになった。乗客の一人は着物を引き裂き、泣きわめきながら祖国の神々に呼びかけて、皆の命が救われたなら、感謝の供物をささげると約束した。
嵐がやむと、安堵の気持ちから、祝宴をあげ踊ったり跳ねたりした。しかし舵取りの男は堅実だったので、彼らに対して言った、
「皆さん、また嵐に会うかもしれない、という気持ちで喜ばなければなりません!」
禍福はあざなえる縄の如し。はしゃぎ過ぎは禁物だ。
ストーリー
弁論家デマデスがある時、アテネで演説をしていたが、聴衆が少しも身を入れて聞かないので「イソップ寓話を語らせてほしい」と頼んだ。
同意が得られたので語り始めて言うには、
「デメテル女神と燕と鰻が道連れになった。川のほとりにさしかかった時、燕は空へ飛び、鰻は水に潜った。」デマデスはこれだけ言って黙った。すると聴衆が、
「デメテル女神はどうなったんだ?」と尋ねるので、デマデスが言うには、
「お前たちに腹をたてていなさるのだ。国の問題を聞かず、イソップ寓話を聞きたがっているのだから。」
※デマデス:古代ギリシャ、アテナイの政治家。貧しい一家に生まれ、一時は船員として働いていたが、巧みな弁舌と狡猾な性格によって、アテナイで高い地位に昇った
多くの人は難しいことを避け簡単な事に流れる。しかし賢明なことではない。
子供を蛇にかみ殺された親の話
ストーリー
農夫の子に蛇が這いよってかみ殺した。
農夫の悲しみは一通りでなく、斧を手に取ると蛇穴の前へ行って「出てきたら一打ちにしてやる!」と見張っていた。
蛇が首を出したので斧を振り下ろしたが、狙いが外れて側にある岩を二つに割ってしまった。
その後、用心深くなった農夫が、蛇に仲直りを申し出たところ、
蛇は「割れた岩を見たら、あんたと仲良くすることは出来ない!あんたも息子の墓を見ればそうだろう!」
心の傷は癒すのが難しい。
「自分が心から愛情を持って接したら相手は変わるはず」、「自分が変われば相手も変わるはず」と思うのは幻想だ。仇敵でも片思いの相手でも同じこと。そんな幻想を抱いていたら、変わらない現実を知った時に打ちのめされるだけ。現実は変わらないと思っていた方が心の傷が浅くて済むだろう。
見た目を変えても中身を変えるのは難しい!
ストーリー
鼬がハンサムな若者に恋をして「自分を女性の姿に変えてください」とアプロディテに祈った。女神は鼬の切ない気持ちを憐れんで、美しい乙女に変えてやった。
すると若者もそれを見て恋に落ち、妻にしようと家に連れて帰った。
二人が寝室でくつろいでいると、アプロディテは鼬がその姿を変えたものの、性格も改めたかどうか確かめたいと思い、鼠をポンと放り込んだ。
彼女は今の身の上を忘れ、ベッドからとび起きるや、食ってやろうと鼠を追いかけまわした。
その姿を見た女神はいたく立腹し、彼女を元の姿に戻してしまった。
見た目を変えても中身を変えるのは難しい。
人生はなるようにしかならない、と気持ちを切り替える。
ストーリー
人を殺した男が、相手の身内に追われていた。
ナイル川のほとりまで来たところ、狼と鉢合わせして、恐ろしくて川辺に生える木に登り、身を潜めていた。
すると毒蛇が頭上で口を開けている。
そこで川に飛び込んだところ、ワニが待ち受けていて、人殺しを食べてしまった。
追われている者には気の休まる時も場所も無い。仕事に追われている、生活に追われている、育児に追われている、これでは体もメンタルもまいってしまう。人生はなるようにしかならない、と気持ちを切り替えることも大切だ。
ストーリー
カワセミは敵を警戒して、海辺の断崖に巣をつくる鳥だ。
ある時、お産の近いカワセミが岬にやって来て、海に突き出た岩を見つけ、そこで雛を育てることにした。
ところが餌を求めて出かけた間に、突風のため海が波立ち、巣が波にさらわれて雛を死なせてしまった。
戻ってきたカワセミは事の次第を悟るとこう言った。
「ああ、情けない!陸は安心できないので、海に逃げて来たが、一層信用できない場所だったとは!」
危険はあると思っている人にしか見えない。