日本の昔話の教訓「春の野道から」のストーリー
昔あるところに、貧乏なお爺さんが住んでいました。
用事があって外へ出かけなければならなくなり、買っておいた一升の酒を徳利のままぶら下げて、出かけました。
広い野原にさしかかると天気も良く、少し疲れたので、この辺で一杯やろうと思い腰かけました。
すると、足元に骸骨が一つ転がっているのです。
「これはこれは、どちらの方の骨だか知りませんが、ちょうど良いところだ。おれは一人で飲むのが嫌いだから、お前さんも一つ飲んで景色を見ながら楽しみましょう」と言って、その骸骨に酒をそそぎかけました。歌など歌ってしばらくしてから、そこを立って出かけました。
ところが、用を済ませたその帰り道、黄昏時に同じ野を通って帰ってくると、後から「爺様、ちょっと待って」と呼ぶ声が聞こえます。振り返ると、十七八の美しい姉様でした。
姉様は「今日はお前さまのお蔭で、嬉しい思いをいたしました。私は三年前に、この野原を通っていて急病で死んだ娘であります。親たちは、方々探していますが、まだ見つけていただけず、寂しく暮らしていました。この月の二十八日に法事がございますので、私と一緒に親の家へ行ってください」と言ったそうです。
さて、その二十八日になりますと、美しい娘が野原で待っておりました。娘の家は大きな屋敷で「俺には、とてもこの中には入れない」とお爺さんが言うと、姉様は「私の着物に捕まってください」といい、誰にも見られずに仏間へ入ることが出来ました。
法事も終わるころになって、膳を下げる時に女中が皿を落として割ってしまったのです。家の主人はひどく小言をいいましたところ、幽霊の娘は「あのようなところを見るのが嫌なので、帰ります」と言い、消えてしまったのでです。
娘が消えてしまうと爺様の姿が見えてしまい、今までのことを話して聞かせますと主人夫婦は泣きました。
早速、娘のいる野原へ骨を迎えに行って、葬式を営んだそうです。
爺様は、この家の人に情けをかけられ、暮らしが楽になったそうです。
教訓
出会うことから全てが始まります。いざと言うとき助けてくれるのはリアルな関係の人です。素敵な出会いを!
(出会いの多さではありませんから、ご注意を!)
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