他人の不幸は人を賢くする!
ストーリー
ライオンと驢馬と狐が仲間になって狩りに出かけた。
獲物がどっさり捕れたので、ライオンは驢馬に命じて分けさせた。
驢馬は三等分を作り、ライオンに好きなのを選ぶよう促したところ、ライオンは激怒して驢馬に跳びかかるや、食べてしまった。
次に狐に分配を命じた。狐は三等分に分けた獲物を一つに集め直し、自分のためには少しだけ取りのけて、残りすべてをライオンに取るよう勧めた。
「誰がこの分け方を教えた?」とライオンが聞くと、
狐は「驢馬の災難です。」
理不尽な権力構造の中で、倫理的正しさだけでは生き残れないことがあるという現実だ。
驢馬の行動は道徳的には正しいが、力の論理においては致命的だった。狐の行動は倫理的には妥協を含むが、観察と学習によって命を守る戦略的判断である。
このような状況では、正義と生存が必ずしも一致しない。だからこそ、「正しさ」だけでなく、「読み解く力」や「適応する知恵」が必要になる。狐の「驢馬の災難です」という言葉は、犠牲者の姿を通して構造を理解し、行動を修正する知性の象徴である。
あなたは驢馬になっていないか?
誠実で働き者、真っすぐな性格の驢馬は、ライオン上司とずる賢い狐の同僚と同じ職場で働いていた。
ある日、ライオン上司は経営陣に認められたい一心で、驢馬と狐に達成困難なノルマを課した。驢馬はその命令に納得できず、冷静に達成不可能な理由を説明し、ノルマの見直しを申し出た。
しかしライオン上司はそれを却下し、内心でこう思った。「いちいちうるさい奴だ。そんなことはわかっている。黙ってやればいいんだ。少しは俺の立場を考えろ!」
その様子を見ていた狐は、心の中でほくそ笑んだ。「馬鹿なやつだ。あいつがライオンの機嫌を損ねたおかげで、俺の評価が上がるぞ。」
それ以降、ライオン上司は驢馬に対して冷淡な態度を取り、評価も厳しくなった。翌年の春、狐は課長に昇進し、驢馬はうつ病を発症して休職することになった。
正しさは、必ずしも報われるとは限らない。権力の前では、正義が通じないこともある。狐は驢馬の「災難」を観察し、学習し、そして適応した。倫理を捨てろとは言わない。だが、構造を読め。
サラリーマンはサバイバルだ。賢く生き残れ。
・・・イソップ寓話の教訓No.391「船主と船乗り」へつづく
※類似教訓
イソップ寓話の教訓No.79「猫と鼠」
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