イソップ寓話の教訓No.142  「老いたライオンと狐」

見抜く者と欺く者

ストーリー

 ライオンが年をとって、腕力では餌を撮れなくなったので、頭を使わなければならないと考えた。そこで洞穴に入って横になり病気のふりをしながら、見舞いにやって来た動物たちを捕まえては食っていた。
 たくさんの動物が餌食にされたが、狐はライオンのたくらみを見透かして、洞穴から遠く離れてご機嫌伺いをした。
 ライオンは「どうしてお前は洞穴の中に入ってこないのだ?」と訳を尋ねると、
 狐は答えて「入って行く足跡は多いが、出て行く足跡は一つもありませんから。」

 この寓話は、「力が衰えたときこそ、知恵が武器になる」という現実の比喩と、「足跡の向きを観察し、前例から学んで同じ過ちを避ける」という知恵の象徴との対決を描いている。
 餌食になった動物たちの不幸を、狐は教訓として活かした。これは、他者の失敗を自分の知恵に変えることができた好例である。
 ただし注意すべきは、危険というものは、それが「存在する」と信じる者にしか見えないという点だ。見ようとしなければ、罠はただの洞穴にしか見えない。
 さて、あなたは、洞穴を「罠」と見抜くために、何を観察し、誰の声に耳を傾けますか?

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