グリム童話の教訓「狼と狐」

今の境遇に不満がある時は

ストーリー

狼が狐を自分の手下にしました。狼がやろうと思ったことは、どんなことでも、狐はそのとおりにしなければなりません。狐は一番力の弱い獣だったからです。ですから、狐は狼と縁を切りたくて、しかたがありませんでした。

ある時、狼が狐に向かって言いました。「おい、狐!なにか食うものを持ってこい。それともお前が丸かじりにされたいか?」

狐は答えて「近くに子羊が何匹かいる農家があるので、そこへ行きましょう!」

狐は仔羊を盗み出し、狼に渡すと自分はさっさとその場を立ち去りました。狼は仔羊をぺろりと食べると、それだけでは我慢ができず、自分でさらいに行きました。さらおうとすると、大人の山羊が大声で鳴きだすので、鳴き声を聞きつけた農夫が、狼を叩きのめしました。狼は片足を引きずりながら、狐の所へたどり着きました。

そのあくる日、また二匹で野原へ出かけた時に、狼が狐に向かって言いました。「おい、狐!なにか食うものを持ってこい。それともお前が丸かじりにされたいか?」

狐は答えて「近くの農家で、今晩に卵焼きを作るみたいです。そこへ行きましょう!」

狐は卵焼きを盗んで、狼に渡すと自分はさっさとその場を立ち去りました。狼は卵焼きをごくりと丸呑みにして「卵焼きは後を引くもんだな」と、自分で取りに行きました。
いきなりお皿を引きずり下ろしたので、大きな音がしてお皿が粉々に割れてしまいました。その音を聞きつけ、男が棒を持って現れ、狼は打ちのめされました。狼は足二本を引きずりながら、狐のもとへ逃げ込みました。

三日目も足を引きずった狼と狐が出かけ、狐に同じように言いました。

狐は答えて「塩漬けの肉が樽詰めになって洞穴にあります。そこへ行きましょう!」

狼は洞穴につくと、置いてあるたくさんの樽を見て「これは食いでがあるぞ!」と思いながら、食べ始めました。狐も食べながら、誰か来やしないか心配で、洞穴の出入り口を出たり入ったりしていました。

そんなことをしているうちに、狐を見つけた農夫が洞穴に入ってきました。

それを見た狐は、すーっと洞穴から跳び出しました。狼が後に続こうとしたのですが、食べすぎたため体が重くなって、穴を通り抜ける前に、農夫のこん棒で叩かれ、殺されてしまいました。

狐は狼と縁が切れて、安心したと言うことです。

この物語の教訓は・・・
今の境遇が不満でも、しばらく辛抱してみるべきだ。辛抱している間に本当の不満は何なのか考えることだ。そうすると不満の本質が見え、対策をたてることが出来るかもしれない。
さらに時間の経過によって不満の元が取り除かれることだってある。
性急な解決を求めると失敗を招き、身を亡ぼすことになる。

狼と狐の画像
グリム童話の教訓「狼と狐」

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