既得権益が恐れる者!
ストーリー
魔法使いの女が神様の怒りを解く呪文やお祓いを売り物にして、またそれがよく当たり、相当なお金を貯めこんでいた。
ところが人々は、この女が宗教の改革を企てるものだとして告発し、裁判を受けさせ、罪状をあげて死刑判決を下した。
裁判所から引き出された女を見たものが言った、
「おい、お前は神様の怒りを解くことができるのに、どうして人間の怒りを解くことができなかったんだ」
自然現象の多くは、自然科学の知識があれば原因を解明できる。しかし、知識のない人々に対して呪術的な言動で説明すれば、信じてしまうこともある。人は未知に対して、しばしば恐怖を抱く。魔法使いとは、そうした恐怖に形を与える存在にすぎない。
だが、この物語で魔法使いを滅ぼしたのは、呪術への恐れではなく、宗教に関わる者たちの既得権益だった。魔法使いに宗教改革の意図はなくとも、彼女の呪術が広まり、信頼を集めれば、宗教の影響力は次第に衰える。既得権益を守る者にとって、それは脅威となる。
意図的であれ、無意識であれ、既存の秩序を揺るがす力を持つ者は、嫉妬や恐れの対象となり、排除される可能性がある。それが現実だ。
人間の感情は、理不尽であり、時に神の怒りよりも制御が難しい。その力を過小評価してはならない。
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