不正はいずれ見破られる!
ストーリー
目を患った老婆が、礼金を約束して医者を呼んだ。
やって来た医者は、薬を塗りながら、老婆が目をつぶる度に、一つずつ家具を盗んでいった。
すっかり盗み出したところで治療も終わったので、約束の礼金を求めたところ、老婆が「払わない」と言うので、役人の所へ突き出した。
老婆の言い分は「目を直してくれたら礼金を払うと約束したが、治療のおかげで前よりも悪くなった」と言うものだった。
老婆が言うには、
「だって、以前は家にある家具がすべて見えたのに、今は何ひとつ見えなくなったんだよ!」
契約とは、形式ではなく誠実さによって成立するものだ。「どうせ分からないだろう」と相手を甘く見て行った不正は、いずれ見破られ、その行為は信頼を損なうだけでなく、報酬を得る資格すら失わせる。
「見えるはずのものが見えなくなった」——それは、単なる視力の話ではない。信頼、誠実、倫理が失われたことの象徴なのかもしれない。
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