イソップ寓話の教訓No.91「じゃれつく驢馬と主人」

報われない努力に意味はあるか?

ストーリー

マルチーズ犬と驢馬を飼う人がいた。
主人が遊んでくれるのは、いつも犬ばかり。よそで食事をした時には、お土産を持ち帰り、しっぽを振って出迎える犬に投げ与えた。
驢馬はこれを羨んで、犬と同じように主人に駆け寄ると、飛び跳ねて蹴ってしまった。
怒った主人は、驢馬を叩きのめし、柱につないでしまった。

 他人の待遇を基準にして、自分の価値を測る必要はありません。
評価の場では、目立つ成果や派手なアピールが注目されがちですが、地道な努力や裏方の貢献こそ、組織の土台を支えています。
 大切なのは、自分自身の強みや立ち位置を理解し、それに沿って行動すること。他者の成功や愛され方をそのまま真似しても、自分の特性や役割に合っていなければ、かえって逆効果になることもあります。
 とはいえ、自分の役割の意味を自分で認識するのは簡単ではありません。評価者に響かなければ、その価値は「無いもの」として扱われてしまうこともあるからです。だからこそ、自分の働きがどこに作用しているかを見極める、冷静で知的な観察力が必要になります。
 そして、評価者に届くためには、見せ方や伝え方にも工夫が必要です。抽象的な価値も、数値や具体例に変換することで、認知されやすくなるはずです。
 あなたの努力がすぐに報われなくても、それは「価値がない」からではありません。
 見えにくい貢献を、見える形に変えていくこと——それが、評価の構造を越えていく第一歩です。

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