口先だけで世渡りする奴はさみしい思いをする!
ストーリー
ある船乗に息子がいて文法学を学ばせたいと考えた。そこで学校に行かせたところ、その息子は文法学を極めた。
その後、息子は父親に言った「お父さん、次は修辞学を学ばせてください。」
息子の言葉に父親は賛成し、再び学校に入れた。息子は十分な勉強を行い修辞学者になった。
ある日、親子三人で食事をしていた時のこと、「文法学と修辞学は思いのままだ!」と息子が両親に言うので、父親は「文法を正しく学んだ者は文章を間違えることがないと聞いている。その学問の実例を見せてくれ」と言った。
すると息子は答えて
「この鶏を文法の規則に従って分配することによって、文法がその他の諸学に勝ることをお見せしましょう。」
息子は鶏を切り分けながら言った。
「お父さん、あなたには頭を差し上げます。あなたは、この家の頭で誰もあなたに頭が上がりませんから。」
「お母さん、あなたには足です。日がな一日、家の中を走り回って山ほど用事を抱えています。足がなければそれもできませんから。」
「胴体は僕に一番ふさわしい!豊かな教養を生かして、口先一つで世渡りすることが出来る人間ですから。」
このように言って息子は鶏を食べ始めた。
父親は頭にきて、息子の鶏を取り上げると、こう言った
「お前は文法を使って鶏を三分割したが、私は修辞学で二分割だ!その一つは私が食べ、もう一つはお前のお母さんだ!お前は自分の修辞学で作り出したところを食べるが良い。」
※修辞学:弁論、演説の技術で聴衆を説得するための学問。相手を丸め込むという意味もある。
口先だけで世渡りする奴はさみしい思いをするが良い。
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