誠実で潔い人はまわりが放っておかない。
ストーリー
ある所に、王様と三人の王子がいました。三人の王子の中で、一番下の王子は上の二人に比べ要領が悪く、上の二人に馬鹿にされ、王様も賢くなってほしいと願っていました。
さて、王様の宮殿には大きな梨の木がありました。梨の木は毎年見事な実を結びましたが、熟した実だけ一つ残らず、誰かに持っていかれるのでした。
王様は一番上の王子に梨の実が熟すころ、木の下で見張り番をするように言いつけました。一番上の王子は、言いつけどおり見張り番を続け、明日はもぎとれるところまで実が熟しました。
ところが、その夜になり「自分がここに居るので誰もとりに来ないだろう」と少し安堵したためか、いつの間にか寝てしまったのです。目が覚めると梨の実は一つもなくなっていました。
そこで王様は二番目の王子に、同じように見張り番を言いつけました。やはり、実が熟し、もぎ取れるという日の夜になると、一番上の王子と同じように、いつの間にか寝てしまい、目が覚めると実が一つもありませんでした。
とうとう王様は一番下の王子に、同じように見張りを言いつけることになりました。明日はもぎとれる日の夜になり、何とか眠気を我慢しながら見張り番をしていると、白い鳩が一羽飛んできて梨を一づつ持っていくのです。鳩を追っていくと高い山の岩の割れ目に消えて行きました。
岩の前まで来ると、突然、小人が現れて岩の中へ入るように促すのです。岩の中へ入って行くと階段が続いていて、その階段を一番下まで降りて行きました。
すると、さっき見た白い鳩が大きな蜘蛛の巣に絡まっていたのです。一番下の王子は「神様のお恵みがありますように」と声をかけると、白い鳩が蜘蛛の巣を突き破ったと思ったら、美しい女性が一人、目の前に立っていました。
それから一番下の王子はこの女性をお妃にされて、王様の後を継いで国を治めたということでございます。
誠実で潔い人はまわりが放っておきません。
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