グリム童話の教訓「狼と山羊」

神様と悪魔が創った動物の話

ストーリー

天の神様があらゆる動物を創り狼を自分の家来に選んだが、山羊だけを忘れてしまった。するとそれを見ていた悪魔が自分も創ってみようと思い、尻尾の長い山羊を創った。

ところが山羊は牧場へでると、いつでも尻尾が草か何かにひっかり動けなくなるので、その度に山羊をひっかりから解いてやらねばならなかった。とうとう悪魔はめんどうになり、山羊の尻尾を噛みきってしまった。

それからは山羊にかってに草をたべさせておいたが、ある時、神様が山羊を見ると木をかじったり、収穫前の葡萄を食べてしまってだいなしにしていた。神様は自分の家来の狼を山羊にけしかけ、たちまち八つ裂きにしてしまった。

これを聞いた悪魔は、神様に言った「あなたの狼がわたしの山羊を八つ裂きにしてしまわれた」
神様は尋ねて「お前は、なんで、あのような害をなすものを創ったのだ?」
「わたしが害をなすことを心掛けておりますので、わたしが創ったものは同じ性質を持つのです。よその木や葡萄を食べないようにたっぷりと餌を与えねばなりません。それにはたくさんのお金を頂けなければなりません。」と悪魔は答えた。
「わかった。槲(カシワ)の葉が枯れ落ちたら、すぐ参れ。用意しておく。」と神様は言った。

槲の葉が落ちたのを見ると、悪魔は神様のもとへのこのやって来て、お金を頂きたいと申し出た。ところが神様は「コンスタンティノープルのお寺にある槲には、まだ葉がいっぱいついておるぞ。」と言った。悪魔はぶつぶつ悪態をつきながらコンスタンティノープルのお寺にある槲の葉が落ちるのを見ると戻ってきました。ところが帰って来た時には、他の槲がいっぱい葉をつけているのでした。

とうとう悪魔もいただくはずのお金に見切りをつけ、山羊に与える餌をあきらめました。
それですから、山羊は木や作物をかじり、尻尾が短く、悪魔の目を持っていると言われます。

※ コンスタンティノープル:トルコ共和国のイスタンブールのヨーロッパ側旧市街の半島部分にあった都市。
※狼:ユーラシア大陸と北アメリカに生息する大型のイヌ属。物語に登場する狼は凶暴さを象徴している。
※山羊:キリスト教文化において、ヤギには悪魔の象徴としてのイメージが強い。

教訓
凶暴な狼も作物をかじる山羊もありのままに生きている。動物に善悪など無く本能のとおり誠実に生きている。
自分に害を与えるものは悪であり、自分に得を与えてくれるものは善である、と善悪を判断することは自分勝手な考えだ。

狼と山羊(グリム童話)
グリム童話の教訓「狼と山羊」
RNF-12によるPixabayからの画像

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