死神のお使いたち

生活習慣は人生の土台です

ストーリー

ある時、一人の大入道が道幅の広い大通りをのそりのそり歩いていました。

すると見知らぬ男がいきなり飛び出してきて「止まれ!」と呼びかけました。大入道が「お前は誰だ?」と尋ねると、その男は答えて「おれは死神だよ。おれの命令には、お前も聞かなければならないのさ!」

大入道は「そんな馬鹿なやつはいない」と言って死神をげんこつで殴り倒したので、死神は道の脇で伸びてしまいました。大入道はそのまま行ってしまいましたが、死神は起き上がる力もありません。

そのうち、年の若い元気な男がやって来ました。元気の良い丈夫な男で、鼻歌を歌いながら、あっちこっちを眺めていましたが、気絶している男に目がとまると、気の毒に思って、持っていた瓶から飲み物を口へながしこんでやって、元気になるまで様子を見ていました。

「おまえ、おれが何者だか知っているのか?」とやっと起きながら尋ねると、若い男は「おまえの素性なんかしらないよ」と返事をしました。

「おれは死神だ。だれだって容赦しないのさ。だがね、おれは、おまえをありがたく思っているから、お前に約束しよう。おまえだけは不意打ちをくわせない。おれが迎えに行く前に、使いをいくつか出すことにしよう。」

「ありがたい、死神の来る時が前からわかって、それまでは、さらわれる気遣いなしにいられるのは、もうけもんだ。」若い男はこんなことを言いながら先へ行きましたが、ただぼやっと日を送るだけでした。

けれども若さと健康は永続きするものではなく、いろいろな病気や苦しみが起ることになりました。「死ぬことはないぞ。死神のやつは使いをいくつもよこすはずだからな。病気のいまいましい日が過ぎてしまえばよいのだ。」と男は独り言を言いました。それで体の具合が良くなると、またすぐに堕落した生活が始まりました。

ある時、だれかが肩を叩きます。振り返ってみると死神が後ろに立っていて、「おれについてきな。おまえは、この世にわかれる時が来たんだ。」と死神が言うのです。男は「なんだって。約束が違うじゃないか。おまえが来る前に使いをよこすと約束しなかったか!使いなんか一人も来ないぞ」と言いました。

死神は答えて「だまれ!使いならあとから後から、お前のところへやったではないか。熱が行かなかったか、目まいがおまえの頭をばかにしたことはないか、痛風がおまえの関節をつねったことはないか、耳鳴りのしたことはないか、歯の痛みがおまえのほっぺたをかじったことはないか、目の前が暗くなったことはないか。」

男は、なんとも返事ができず、これを自分の運命とあきらめて、死神のおともをして行ってしまいました。

この物語の教訓は、
生活習慣は人生の土台です。歳を重ねれば、だれでも死神のお使いがちらほら見えているはずです。具合が悪ければ体のメンテナンスをしましょう。そして、今から少しでも生活習慣を改善しようではありませんか。

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死神のお使いたち

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