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慢心を戒める教訓

  • イソップ寓話の教訓No.451「羊の皮をかぶった狼」

    はかりごとは災難を招く!

    ストーリー

     ある時、狼はたらふく餌にありつくためには、どうすれば良いか考えていた。
     すると、羊の皮が置き去りにされているのを見つけ、姿を変えれば獲物に近づけるだろうと考えた。
     羊の皮を被るとまんまと羊飼いを欺き、羊の群れに交じって草をはんでいた。
     夜になると、狼も羊小屋に押し込められた。羊飼いは晩飯にしたいと思い、ナイフを持って羊小屋に入って行った。
     羊飼いが晩飯のために手を付けたのは、羊の皮を被った狼だった。

     策を弄しても事はうまく運ばないと心得よ。誰でも自分の過去を振り返れば明らかだ。羊の皮を被るなどと姑息な事をするから被害に合うのだ!後悔しないために、常に自分のやり方を貫くべきだ。
    自分に対する誠実さは遠回りでも、最終的には自分を守ることになるのだ!

  • イソップ寓話の教訓No.421「船乗と息子」

    口先だけで世渡りする奴はさみしい思いをする!

    ストーリー

     ある船乗に息子がいて文法学を学ばせたいと考えた。そこで学校に行かせたところ、その息子は文法学を極めた。
     その後、息子は父親に言った「お父さん、次は修辞学を学ばせてください。」
     息子の言葉に父親は賛成し、再び学校に入れた。息子は十分な勉強を行い修辞学者になった。
     ある日、親子三人で食事をしていた時のこと、「文法学と修辞学は思いのままだ!」と息子が両親に言うので、父親は「文法を正しく学んだ者は文章を間違えることがないと聞いている。その学問の実例を見せてくれ」と言った。
     すると息子は、
    「この鶏を文法の規則に従って分配することによって、文法がその他の諸学に勝ることをお見せしましょう。」
     息子は鶏を切り分けながら言った。
    「お父さん、あなたには頭を差し上げます。あなたは、この家の頭で誰もあなたに頭が上がりませんから。」
    「お母さん、あなたには足です。日がな一日、家の中を走り回って山ほど用事を抱えています。足がなければそれもできませんから。」
    「胴体は僕に一番ふさわしい!豊かな教養を生かして、口先一つで世渡りすることが出来る人間ですから。」
    このように言って息子は鶏を食べ始めた。
     父親は頭にきて、息子の鶏を取り上げると、こう言った
     「お前は文法を使って鶏を三分割したが、私は修辞学で二分割だ!その一つは私が食べ、もう一つはお前のお母さんだ!お前は自分の修辞学で作り出したところを食べるが良い。」

    ※修辞学:弁論、演説の技術で聴衆を説得するための学問。相手を丸め込むという意味もある。

     言葉の力で現実を操作したり、自分を正当化することは、周りの目には挑発的で不遜に映り、いずれ制裁が下される。
     口先だけで世渡りする奴はさみしい思いをするが良い。

  • イソップ寓話の教訓No.29「炭屋と洗濯屋」

    相性の良い仲間に恵まれないと、良い仕事はできない!

    ストーリー

     炭屋の近くに洗濯屋が店を開いた。
     炭屋は洗濯屋をたずね、一緒に住もうと誘った。炭屋は、身内同然に仲良くなれるとか、経済的だとか、いろいろ理由をつけて誘ったのだが、洗濯屋は、
    「私にはできない。私が白くしたものを、あなたは炭で黒くするだろう。」

     仕事のできる者が組んでも相性が良くなければストレスがたまる、摩擦が生まれる。相性の良い仲間に恵まれないと良い仕事はできない。
     チームのメンバーと上手に付き合っているだろうか?自分だけ美味しいところを持って行っていないか?自分だけ損をしていないか?定期的に点検が必要だ。

    ※類似の教訓
    イソップ寓話の教訓No.94「父親と二人の娘」

  • 星の銀貨(グリム童話)

    善行の報酬は「物質」ではなく「安心」だ!

    ストーリー

     むかし昔、ある所に貧しい女の子がいました。今日は情け深い人にもらったパンを一つ手にもっているだけです。
     女の子が野原へ行ったところ、みすぼらしい男の人が「お腹がペコペコです。何か食べ物をください」と言いました。
     女の子はその人にパンを丸ごと渡すと「神様のお恵みがございますように!」と言ってさっさと行ってしまいました。
     すると、今度は子供がやって来て、めそめそと「寒くてしかたがない、上着をくださいな」と言いました。この子供は体が凍り付いたように冷たかったので、女の子は自分の上着をあげました。
     辺りも暗くなり、女の子は寒さに震えながら行く当てもなくたたずんでいると、いきなり空から星が降ってきました。しかも、それが地面に落ちた時にはピカピカ光った銀貨になっていました。
     気が付くと子供にあげた上着もちゃんと新しいものを着ていて、それも上等なものでした。
     降ってきた銀貨のおかげで、女の子はなに不自由なく暮らすことが出来たということです。

     相手へ思いやりは必ず自分に返ってくる。つまり思いやりは相手のためだけでなく自分のためでもある。善行の報酬は「物質」ではなく「安心」であることにも気づいてほしい!

  • イソップ寓話の教訓No.88「ヘルメスと彫刻家」

    自己評価と他者評価のギャップ!

    ストーリー

     ヘルメスは人間界でどれほど尊敬されているか知りたいと思い、人間に姿を変えて彫刻家の工房へ入って行った。
     ゼウス像を見つけて「値段はいくらかね?」と尋ねたところ
     「1ドラクメです」との答え。ずいぶん安いのでおかしくなり、
     「ヘラの像はいくらだ?」と聞くと、もっと高いという。
    自分の像もあった。自分は神々の使者で利殖の神だから、さぞかし高い値段をつけているだろうと思い、重ねて尋ねた。
     「では、このヘルメス像は?」すると彫刻家が言うには、
     「さっきの2体を買ってくださるなら、おまけで差し上げますよ!」

    ※ドラクメ:ギリシャの通貨単位
    ※ゼウス:ギリシア神話の全知全能の神
    ※ヘラ:ゼウスの正妻、最高位の女神
    ※ヘルメス:青年神、利殖の神

     自分が重要だと思っていることが、他者にとってはそうでもないということは、よくある事だ。
     自己評価と他者評価は常にギャップがあると思え。そうすれば、他者評価が自分の思いに反して良くないとしても、気持ちの落ち込みは軽くて済む。

  • ハンスと三毛猫(グリム童話)

    粉ひき小屋の奉公人が魔法の御殿でまじめに働き王女と結婚する話

    ストーリー

     ある粉ひき小屋に、おじいさんと三人の奉公人がいました。おじいさんには家族がないので、三人の奉公人の誰かに、この粉ひき小屋を譲ろうと考えました。
     そこで、おじいさんは言いました「お前たち、旅に出なさい。みやげに一番良い馬を持ち帰ったものに、この粉ひき小屋を譲ろう!」

     三人は旅に出ました。夜になったので洞穴を見つけ、その中へ入ってごろ寝しました。朝になって三人の中で一番年下のハンスが目を覚ますと、他の二人の姿はありません。洞穴の中においてかれたのでした。
     ハンスは洞穴を出ると森へ入って行きました。一人でとぼとぼ歩いていると、三毛猫が声をかけてきました「ハンスさん、あなたが欲しいものはわかっていますよ。私の召使になって7年働きなさい。そうすれば立派な馬を一頭あげますよ。」

     三毛猫はハンスを魔法の御殿へ連れて行きました。
    それからというもの三毛猫の言いつけどおり毎日毎日、朝から晩まで仕事をしました。
    ちょうど7年たったころ、三毛猫は約束の馬をハンスに見せて言いました「うちへお帰り!馬は三日たったら私が届けてあげるよ。」

     ハンスが家に着いてみると、他の二人の奉公人も戻っていました。二人とも馬を連れて来たには来たのですが、一頭は目が見えず、もう一頭は脚が不自由でした。
     二人の奉公人はハンスに「お前の馬はどうした?」と尋ねるので、ハンスは答えて「三日たつと、後からやってくるよ。」
     これを聞いた二人は大笑いでハンスをバカにしました。おじいさんもハンスの身なりが汚いので、動物小屋に住まわせることにしました。

     三日たった朝、六頭立ての馬車が粉ひき小屋の前でとまり、きらびやかな王女が降りてきました。王女は粉ひき小屋のおじいさんに「ハンスにあげる馬を連れてきました。ハンスはどこですか?」と尋ねると、ぼろぼろの服を着たハンスが動物小屋から出てきました。
     それを見た王女は「馬はここにおいていきます」と言い、ハンスを馬車に乗せ行ってしまいました。
     その後、王女とハンスは婚礼をあげ、お金も生涯こまることがなかったそうです。

    教訓
    必ず誰かが見ていて、行動に応じた評価が返されます。良いことも悪いことも見られていることを忘れずに!

    ハンスと三毛猫(グリム童話)
    ハンスと三毛猫(グリム童話)
  • イソップ寓話の教訓「猫と鸛(コウノトリ)」

    言葉の裏に潜む目的!

    ストーリー

     鸛(コウノトリ)が鰻をくわえていた。それを見た猫は鰻が欲しくなり、奪ってやろうと考えた。
     そこで猫が鸛(コウノトリ)に尋ねた。
    「ああ、君のくちばしは赤くて綺麗だ!内側も赤いのかい?」
     鸛(コウノトリ)は鰻を落とさないように、口を閉じたまま黙っていた。 すると猫は「君は耳も聞こえない、口もきけないのか。答えたらどうなんだ!」と言った。
     鸛(コウノトリ)は何も言わず、鰻をくわえたまま立ち去った。

     他人が勝手に近づいて来て、あれこれ言う時は裏の目的がある。要注意だ。

  • イソップ寓話の教訓「鼠の会議」

    すばらしい提案ほど実行するのは難しい

    ストーリー

     ある日、鼠たちは敵である猫からどうやって身を守るかを話し合った。
     一匹の若い鼠が言うには「猫の首に鈴をつければいいのだ。そうすれば猫がどこに居るかわかるので、いつでも逃げらることができる!」
     それを聞いた年老いた鼠が答えて言った。「誰が猫に鈴をつけるのだ?」

     すばらしい提案ほど実行するのは難しい。
     会社組織でも同じだ。机上で理想的な絵はいくらでも描くことが出来る。しかし、それを実行するには人間関係、予算、納期、既得権益など、複雑な現実が絡む。一言でいえば誰が実行のリスクを引き受けるかだ。
     提案者でさえ実行できない提案は、無責任な提案だと言いたい!

  • イソップ寓話の教訓No.235「蟻と鳩」

    善い行いは自分のためになる!

    ストーリー

     喉が渇いた蟻が水を飲もうと川へ向かった。川の水に近ずくため急な土手をくだっていると足を滑らせ、渦を巻いている水の中に落ちてしまった。それを見た鳩は、素早く葉を一枚もぎ取り、蟻のために落としてやり、蟻はそれにつかまり助かった。
     それから数日たったある日、猟師が綱を持って鳩を捕まえようとしているのを目にした。蟻は猟師の体に這い上がり頭を強く噛んだ。驚いた猟師は綱を落としてしまい、そのすきに鳩は飛び去ることができた。
     鳩は木にとまり「小さな友よありがとう!」と言うと、
    蟻は答えて言った。「小さな私でも恩返しは出来るのです!」

     善い行いは自分のためになる。善意は目に見えない信用を築く。これは危機のときに支援や協力として返ってくることを忘れてはならない!

  • イソップ寓話の教訓「かいば桶の中の犬」

    自分の都合を優先し、他人の邪魔をする困った人!

    ストーリー

     犬が昼寝をする場所を探していたところ、飼葉桶を見つけた。 犬が飼葉桶の中で寝ていると、帰ってきた牛が中をのぞいた。犬はビックリして牛に何度も吠えて言った。「おどかして昼寝の邪魔をするな!」
     牛は答えて言った。「おれが覗いたら勝手に驚いたのはお前だ。お前が寝ているのは俺の食事場所だ!」

     自分の都合を優先し他人の邪魔をしていることに気が回らない。それを指摘すると逆切れする困った人がいる。
     犬は飼葉桶の干し草を食べることができないのに、牛が食べようとすると邪魔をする。これは「自分に利益がないのに、他人の利益を妨げる」行為の象徴だ。

  • 忠義な動物(グリム童話)

    失って初めてその重みを知る!

    ストーリー

     ある男が村へやってくると、子供たちが集まって鼠をいじめていた。男は鼠を可哀そうに思い、子供たちにお小遣いをわたして鼠を逃がしてやりました。
     また別の村へくると、今度は猿がいじめれていた。男はこれをみると、子供たちにお小遣いをわたして猿を逃がしてやりました。
     それから三番目の村へくると、今度は熊がいじめられていた。男はまた子供たちにお小遣いをわたし熊を逃がしてやりました。
     男は手持ちのお金を使い果たしてしまったので、お城の倉庫に使いもしないお金があることを思い出し「あそこから少し借りてこよう、お金が手に入った時にもとへ返しておけばよいではないか!」と独り言を言い、忍び込んだのです。
     ですが、王様の家来に捕まってしまい、罰として箱詰めにされ川へ流される裁きを受けることになりました。

     ぷかぷか水に浮いていると、錠前をひっかく音やかじる音、鼻を鳴らす音が聞こえてきました。すると錠前が開いて蓋が跳ね上がり、先日、助けた鼠と猿と熊がそこに居ました。男は箱を開けてもらったものの、これから先はどうしたものか、みんなで相談していたところ、白い石がこちらへ流れてきました。
     すると熊が「これはうまいところへ来たもんだ!これは不思議な石でね、こいつを持っていると何でも願いが叶うんだ」と言いました。
     男は石を握ると「庭と厩舎のついている大きな屋敷が欲しい」と願い、それを言うと男は、 庭と厩舎のついている大きな屋敷 に座っていました。

     しばらくして、商人がここを通りかかりました。
    「素晴らしい御殿があるじゃないか!この前ここを通った時は砂浜だったんだがなぁ」
     商人は御殿に入り、例の男にこのような立派な御殿をどうしてこんなに速く作ったのか聞いたところ、男は「不思議な石のしわざですよ」と答えました。
     商人は、その石が欲しくてたまらず「自分の持っている品物を全部あげるので、その石と交換してほしい」と頼みました。男は並べられた品々に目がくらみ、心がしっかりしていなかったものだから、うっかり交換してしまいました。
     ところが石を手放してしまうと、そのとたんに幸せもみんな消え、鍵のかかった箱の中に座ってぷかぷかと浮いていました。

     それを見ていた鼠と、猿と、熊は、また男を助けようしましたが、以前より頑丈になった鍵を開けることができません。そこで三匹の動物は「またあの不思議な石を手に入れなければダメだ」ということがわかり、商人たちがいる御殿へ向かいました。
     
     御殿の中から不思議な石を手に入れた三匹の動物は、箱詰めの男へたどり着き、箱のふたをはね上げました。不思議な石を手にした男は「 庭と厩舎のついている大きな屋敷が欲しい 」と願い、願いが叶うと三匹の動物とともに一緒に住まって、なに不足ない日を送りました。

     その後、男は不思議な石を二度と手放すことは無かったそうです。

     不思議な石を手に入れた男は願いが叶うことが当たり前になった。するとその石の大切さを忘れてしまう。石が自分のもとから去ってしまうと元の不幸な境遇に。
     本当に大切なものは、時として目に入らなくなる。失ってみて、その有難さに気づく。
     健康、信頼、自由、愛情など、失って初めてその重みを知る。
     あなたの「不思議な石」は何か?それは理念か、信頼か、健康か、家族か、仲間か。

  • 知恵のある人たち(グリム童話)

    不正に対して不正で返すことは許されるのか!

    ストーリー

     ある日のこと、どこかの百姓の旦那がおかみさんに「三日間るすにするので、そのあいだに牛買いが来て牝牛を3頭買いたいといったら、二百ターレルより高く売ってくれ」と言って出かけました。
     あくる日、牛買いがやって来て牝牛を調べた後、おかみさんに値段を聞くと「ちょうどそのくらいの値段だ、牛はすぐに頂いていきます」と言い、牛を鎖から放し牛小屋から追い出しました。門を出ようとしたとき、おかみさんは「二百ターレル出さなきゃ、牛を連れて行ってはダメだよ」と言いました。
     牛買いは「あー、財布を忘れた!あとでお金を払うから、それまで一頭おいて、二頭だけ連れて帰ります。」
     なるほど、うまい考えだとおかみさんは関心しました。
     しかし、牛買いはお金を持って現れませんでした。

     三日目に帰ってきた百姓の旦那が、おかみさんから話を聞くと腹をたて、気晴らしに大通りへ出かけてしまいました。
     百姓の旦那が大通りの石に腰かけていると、女が荷車を引いてやって来ました。百姓の旦那は何かを思いつき、荷車の前をあっちこっち、うろうろしました。
     荷車を引いてきた女は百姓に「おじさん、なにしてんの!」と尋ねると、百姓は「おれは天国から落ちてきて、どうしたら戻れるやら考えてるんだ・・・。その車で天国へ連れて行ってくれないか」
     女は「天国から来たなら、うちの亭主はどうしてるか聞かせてもらえないか」と尋ねると、百姓は答えて「ああ、知っている。羊の番をしているよ。茨のとげで服がぼろぼろになっていたよ」。
     それを聞いた女は「それでは、お前様に財布を預けるから、うちの亭主に渡してくれないかい」と女は言い、百姓のポケットに押し込みました。
      百姓は家へ帰ってきて椅子に座り、こう思いました。「うまいことをやったな!」

     相手の無知や親切心につけこみ得をしようとするものはいつの世にもいる。騙された者が、別の場面で騙す者になる悪の連鎖。被害者が加害者になる、不正に対して不正で返すことは許されるのか、正義はどこにあるのか。