投稿者: gray wolf

  • グリム童話の教訓「おじいさんと孫」

    自分の良くないところは自分では気づきにくい!

    ストーリー

    ある所に、おじいさんと息子夫婦と孫の四人が暮らしていました。

    おじいさんは、年をとって目がかすみ、耳も遠くなり、力もなくなっていました。スプーンもしっかり持っていられないほどで、食卓の上によくこぼしているありさまでした。息子夫婦は、それを見るのが嫌で、おじいさんの食卓は部屋の隅にテーブルを置いて、そこで食事をさせていました。

    ある時、おじいさんの手からお皿が床に落ちて、粉々に割れてしまったのです。息子夫婦は小言を言いましたが、おじいさんは、なにも言わずにため息をついていました。それ以後、おじいさんには安い木の皿があてがわれ、それで食べることに決められました。

    あるとき、四歳になる子供が外遊びから帰ってくると、小さな板切れを集めてきました。

    お父さんが子供に尋ねました。「その小さな板は、なにをするのだい?」

    四歳の子供は答えて言いました。「木のお皿をつくるの。お父さんとお母さんに食べさせてあげるの。」

    これを聞いた夫婦は、しばらく顔を見合わせていましたが、おじいさんを食卓へ戻し、少しくらいこぼしても、何も言わなくなりました。

    この物語の教訓は・・・
    仕事に追われたり日々の生活に追われていると余裕がなくなる。自分に余裕がなければ他者に対する思いやりや優しさの気持ちも薄れてくるのだ。

    イライラしていたり、怒りっぽいと感じたら、余裕がない兆候だ。自己点検の機会が与えられたと思うべきだ。自分の良くないところは自分では気づきにくい。

    グリム童話の教訓「おじいさんと孫」
  • グリム童話の教訓「狐と猫」

    口先だけの人に騙されない

    ストーリー

    猫が森の中で狐を見かけ話しかけた。「狐さん、こんにちは。」

    狐は猫をじろじろ見ながら「何だい?お前のことを相手にしている時間はないんだ」と答えた。

    猫は「狐さんは頭が良くて世間で貴ばれていると聞いて、ご挨拶したのです。」と言った。

    狐は猫に尋ねた。「お前は、何かできることがあるのか?」

    猫は「一つだけありいます。犬が追いかけてきたら、木の上に逃げることができます」と小さくなりながら答えた。

    狐は「たったそれだけか。そんなことなら俺についてきな。簡単に犬からにげる方法を教えてやるよ」と得意げに言った。

    その時、猟師が犬を連れて歩いてくるのが見えたので、猫は素早く木の上へ駆けあがり、枝や葉で身を隠した。

    猫が下を見ると、狐はすでに犬に捕まって、身動きが取れない状態だった。

    猫が独り言でいうには「狐さんも木に登れたら良かったのに!」

    この物語の教訓は・・・
    口先だけの人か行動も伴う人かを見分けて騙されないようにしよう。
    中身が備わった人は信頼され、いずれ周囲になくてはならない存在になります。

    グリム童話の教訓「狐と猫」
  • グリム童話の教訓「狼と狐」

    今の境遇に不満がある時は

    ストーリー

    狼が狐を自分の手下にしました。狼がやろうと思ったことは、どんなことでも、狐はそのとおりにしなければなりません。狐は一番力の弱い獣だったからです。ですから、狐は狼と縁を切りたくて、しかたがありませんでした。

    ある時、狼が狐に向かって言いました。「おい、狐!なにか食うものを持ってこい。それともお前が丸かじりにされたいか?」

    狐は答えて「近くに子羊が何匹かいる農家があるので、そこへ行きましょう!」

    狐は仔羊を盗み出し、狼に渡すと自分はさっさとその場を立ち去りました。狼は仔羊をぺろりと食べると、それだけでは我慢ができず、自分でさらいに行きました。さらおうとすると、大人の山羊が大声で鳴きだすので、鳴き声を聞きつけた農夫が、狼を叩きのめしました。狼は片足を引きずりながら、狐の所へたどり着きました。

    そのあくる日、また二匹で野原へ出かけた時に、狼が狐に向かって言いました。「おい、狐!なにか食うものを持ってこい。それともお前が丸かじりにされたいか?」

    狐は答えて「近くの農家で、今晩に卵焼きを作るみたいです。そこへ行きましょう!」

    狐は卵焼きを盗んで、狼に渡すと自分はさっさとその場を立ち去りました。狼は卵焼きをごくりと丸呑みにして「卵焼きは後を引くもんだな」と、自分で取りに行きました。
    いきなりお皿を引きずり下ろしたので、大きな音がしてお皿が粉々に割れてしまいました。その音を聞きつけ、男が棒を持って現れ、狼は打ちのめされました。狼は足二本を引きずりながら、狐のもとへ逃げ込みました。

    三日目も足を引きずった狼と狐が出かけ、狐に同じように言いました。

    狐は答えて「塩漬けの肉が樽詰めになって洞穴にあります。そこへ行きましょう!」

    狼は洞穴につくと、置いてあるたくさんの樽を見て「これは食いでがあるぞ!」と思いながら、食べ始めました。狐も食べながら、誰か来やしないか心配で、洞穴の出入り口を出たり入ったりしていました。

    そんなことをしているうちに、狐を見つけた農夫が洞穴に入ってきました。

    それを見た狐は、すーっと洞穴から跳び出しました。狼が後に続こうとしたのですが、食べすぎたため体が重くなって、穴を通り抜ける前に、農夫のこん棒で叩かれ、殺されてしまいました。

    狐は狼と縁が切れて、安心したと言うことです。

    この物語の教訓は・・・
    今の境遇が不満でも、しばらく辛抱してみるべきだ。辛抱している間に本当の不満は何なのか考えることだ。そうすると不満の本質が見え、対策をたてることが出来るかもしれない。
    さらに時間の経過によって不満の元が取り除かれることだってある。
    性急な解決を求めると失敗を招き、身を亡ぼすことになる。

    狼と狐の画像
    グリム童話の教訓「狼と狐」
  • 狼と人間

    自分の事と相手の事を知ることは愚行への最大の予防

    ストーリー

    狐が狼に、人間はどんな動物でもはむかえない。人間に狩られないようにするには、動物は、はかりごとをしなければダメだと言い出した。

    すると狼は「人間というものに出くわしたら、跳びかかってやる!」と答えた。それを聞いて狐は言った。「明日の朝に尋ねてきてくれれば、人間を見せてあげるよ。」

    翌朝、狐は狩人が毎日とおる道へ狼を連れ出した。

    最初に来たのは、兵隊あがりのお爺さん。それを見た狼は「あれが人間か?」と尋ねると、狐は「違う、あれは以前、人間だったのさ。」

    次に来たのは、学校へ向かう小さな男の子。狼は「あれが人間か?」と尋ねると、狐は「違う、あれは、これから人間になるのさ。」

    次に来たのは、鉄砲と山刀を持った狩人だった。狼は「あれが人間か?」と尋ねると、狐は「あれが人間と言うものだ。あれが跳びかかる相手だよ」と言った。

    狼は人間めがけて跳びかかって行った。狩人は鉄砲を狼の顔に狙いをつけて一発目を撃った。狼は、ひるまず進んで行った。狩人は二発目を撃った。狼は痛いのを我慢しながら狩人へ迫った。すると山刀を抜き左右に斬りつけたので、狼は血だらけになりながら狐の所へ逃げ帰った。

    狼は言った。「人間は、あんなに強いとは思わなかった。初めに杖をこっちへ向けて、息を吹き込んだら、何かが俺の顔に飛んできたんだ。それを二回もやられた。それから、そばへ行ったら、自分のあばら骨を引き抜いて、振り回してきたんだ。もう少しでやられるところだった。」

    「だから言ったんだ!」と狐は言った。

    この物語の教訓は・・・
    自分の事と相手の事を知ることは愚行への最大の予防です。また情報を鵜呑みにせず、真実は自分で確かめて理解するものです。情報の出所にも注意しましょう。

    狼と人間の画像
    狼と人間
  • グリム童話の教訓「白い鳩」

    誠実で潔い人はまわりが放っておかない。

    ストーリー

     ある所に、王様と三人の王子がいました。三人の王子の中で、一番下の王子は上の二人に比べ要領が悪く、上の二人に馬鹿にされ、王様も賢くなってほしいと願っていました。

     さて、王様の宮殿には大きな梨の木がありました。梨の木は毎年見事な実を結びましたが、熟した実だけ一つ残らず、誰かに持っていかれるのでした。

     王様は一番上の王子に梨の実が熟すころ、木の下で見張り番をするように言いつけました。一番上の王子は、言いつけどおり見張り番を続け、明日はもぎとれるところまで実が熟しました。

     ところが、その夜になり「自分がここに居るので誰もとりに来ないだろう」と少し安堵したためか、いつの間にか寝てしまったのです。目が覚めると梨の実は一つもなくなっていました。

     そこで王様は二番目の王子に、同じように見張り番を言いつけました。やはり、実が熟し、もぎ取れるという日の夜になると、一番上の王子と同じように、いつの間にか寝てしまい、目が覚めると実が一つもありませんでした。

     とうとう王様は一番下の王子に、同じように見張りを言いつけることになりました。明日はもぎとれる日の夜になり、何とか眠気を我慢しながら見張り番をしていると、白い鳩が一羽飛んできて梨を一づつ持っていくのです。鳩を追っていくと高い山の岩の割れ目に消えて行きました。

     岩の前まで来ると、突然、小人が現れて岩の中へ入るように促すのです。岩の中へ入って行くと階段が続いていて、その階段を一番下まで降りて行きました。

     すると、さっき見た白い鳩が大きな蜘蛛の巣に絡まっていたのです。一番下の王子は「神様のお恵みがありますように」と声をかけると、白い鳩が蜘蛛の巣を突き破ったと思ったら、美しい女性が一人、目の前に立っていました。

     それから一番下の王子はこの女性をお妃にされて、王様の後を継いで国を治めたということでございます。

    誠実で潔い人はまわりが放っておきません。

    白い鳩の画像
    グリム童話の教訓「白い鳩」
  • 物語に学ぶ教訓集より皆さまへ


    謹賀新年

    旧年中は当サイトのご購読ありがとうございました
    本年が皆様にとって幸多き一年となりますよう心よりお祈り申し上げます
    本年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします

    2021年元旦

    物語に学ぶ教訓集「新年のご挨拶」