牛をだまし取られた百姓が、悪知恵を働かせ人をだます話
ストーリー
ある日のこと、どこかの百姓の旦那がおかみさんに「三日間るすにするので、そのあいだに牛買いが来て牝牛を3頭買いたいといったら、二百ターレルより高く売ってくれ」と言って出かけました。
あくる日、牛買いがやって来て牝牛を調べた後、おかみさんに値段を聞くと「ちょうどそのくらいの値段だ、牛はすぐに頂いていきます」と言い、牛を鎖から放し牛小屋から追い出しました。門を出ようとしたとき、おかみさんは「二百ターレル出さなきゃ、牛を連れて行ってはダメだよ」と言いました。
牛買いは「あー、財布を忘れた!あとでお金を払うから、それまで一頭おいて、二頭だけ連れて帰ります。」
なるほど、うまい考えだとおかみさんは関心しました。
しかし、牛買いはお金を持って現れませんでした。
三日目に帰ってきた百姓の旦那が、おかみさんから話を聞くと腹をたて、気晴らしに大通りへ出かけてしまいました。
百姓の旦那が大通りの石に腰かけていると、女が荷車を引いてやって来ました。百姓の旦那は何かを思いつき、荷車の前をあっちこっち、うろうろしました。
荷車を引いてきた女は百姓に「おじさん、なにしてんの!」と尋ねると、百姓は「おれは天国から落ちてきて、どうしたら戻れるやら考えてるんだ・・・。その車で天国へ連れて行ってくれないか」。
女は「天国から来たなら、うちの亭主はどうしてるか聞かせてもらえないか」と尋ねると、百姓は答えて「ああ、知っている。羊の番をしているよ。茨のとげで服がぼろぼろになっていたよ」。
それを聞いた女は「それでは、お前様に財布を預けるから、うちの亭主に渡してくれないかい」と女は言い、百姓のポケットに押し込みました。
百姓は家へ帰ってきて椅子に座り、こう思いました。「うまいことをやったな!」
相手の無知や親切心につけこみ得をしようとするものはいつの世にもいる。
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